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「はーい、居らっしゃいませー」

「真面目にやらんか!」

「ぶー、だって詰まらないんだもの」


 生まれた町から、二つの山を越えた処に在る大きな村で働いて居た。
 宿をとるお金すら無かったので、此処の古書店で住み込みで働く。

 しかし、暇。暇で暇で仕方がない。
 店主の翁を弄るのも飽きた。

 ちょくちょく客は来るのだが、それにしても暇過ぎる。


「これをお願いします」

「あー、はいはい。……ん?」


 目の前には、美女がいた。


「何と! 此れは此れはお美しい人! まるで鈴蘭の様に白く可愛らしい。如何です? 私と心中すると云うのは……」

「この、馬鹿者!」


 私は翁に思いきり殴られ、女性は慌てふためいた。


「酷いよ!? 私の此の端整な顔に傷が付くじゃないか!」

「ふん、知ったことか」

「もー、そんなに眉間に皺寄せても老けてるんだから変わらな……」

「お前、晩飯抜きな」

「酷い!!」


 夕餉はきちんと頂きました。
 全く、ツンデレにも程があるよねぇ。

 店を閉め、風呂を焚きに表へ出た。


 暫くして、何処からか殺気を感じた。
 此方へ迫って来る。

 起こした火を汲み水で静かに消し、近くに在った片手斧を握り、裏口から中へ入った。

 前世でも感じた事の無い、鬼魅が悪い気配と雰囲気。何だか悍ましい。
 此処には世話に成ったのだ。
 守らなければならない。


「お爺さん、押し入れに隠れて」

「む? お前、何斧持って……」

「いいから」


 翁を無理矢理押し入れに閉じ込め、来たる気配を待った。


(来る!)


 刹那、障子を壊して何かが襲ってきた。


「人間んんんん!!!!!!!!」


 其れは、狼でもなく、熊でもなく、人型をした化け物だった。

 覆い被さる様にして迫る。


「ぐっ……、食べようとしているのか!」


 化け物は牙を剥き出しにし、噛み付こうとする素振りだった。

 斧の持ち手を化け物の口元に押し付け、力では適わないので押し返すのではなく、横に倒した。化け物は斧を咥えた侭、案の定横向きに転がっていった。
 しかし、斧は口から離し、再び此方へ向かってきた。

 今世では勿論、前世から私は力が弱く、体術もあまり強くはなかった。
 しかし、其れは探偵社やポートマフィアの中での事であり、一般的に鑑みれば、そこそこ強い訳で。

 爪を立てて引っ掻こうとするのを軽やかに避け、項を抑えて床に押し付けた。
 そしてその上に座る。何故か翁も出てきて乗った。



伍→←参



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サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時

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