肆 ページ4
*
「はーい、居らっしゃいませー」
「真面目にやらんか!」
「ぶー、だって詰まらないんだもの」
生まれた町から、二つの山を越えた処に在る大きな村で働いて居た。
宿をとるお金すら無かったので、此処の古書店で住み込みで働く。
しかし、暇。暇で暇で仕方がない。
店主の翁を弄るのも飽きた。
ちょくちょく客は来るのだが、それにしても暇過ぎる。
「これをお願いします」
「あー、はいはい。……ん?」
目の前には、美女がいた。
「何と! 此れは此れはお美しい人! まるで鈴蘭の様に白く可愛らしい。如何です? 私と心中すると云うのは……」
「この、馬鹿者!」
私は翁に思いきり殴られ、女性は慌てふためいた。
「酷いよ!? 私の此の端整な顔に傷が付くじゃないか!」
「ふん、知ったことか」
「もー、そんなに眉間に皺寄せても老けてるんだから変わらな……」
「お前、晩飯抜きな」
「酷い!!」
夕餉はきちんと頂きました。
全く、ツンデレにも程があるよねぇ。
店を閉め、風呂を焚きに表へ出た。
暫くして、何処からか殺気を感じた。
此方へ迫って来る。
起こした火を汲み水で静かに消し、近くに在った片手斧を握り、裏口から中へ入った。
前世でも感じた事の無い、鬼魅が悪い気配と雰囲気。何だか悍ましい。
此処には世話に成ったのだ。
守らなければならない。
「お爺さん、押し入れに隠れて」
「む? お前、何斧持って……」
「いいから」
翁を無理矢理押し入れに閉じ込め、来たる気配を待った。
(来る!)
刹那、障子を壊して何かが襲ってきた。
「人間んんんん!!!!!!!!」
其れは、狼でもなく、熊でもなく、人型をした化け物だった。
覆い被さる様にして迫る。
「ぐっ……、食べようとしているのか!」
化け物は牙を剥き出しにし、噛み付こうとする素振りだった。
斧の持ち手を化け物の口元に押し付け、力では適わないので押し返すのではなく、横に倒した。化け物は斧を咥えた侭、案の定横向きに転がっていった。
しかし、斧は口から離し、再び此方へ向かってきた。
今世では勿論、前世から私は力が弱く、体術もあまり強くはなかった。
しかし、其れは探偵社やポートマフィアの中での事であり、一般的に鑑みれば、そこそこ強い訳で。
爪を立てて引っ掻こうとするのを軽やかに避け、項を抑えて床に押し付けた。
そしてその上に座る。何故か翁も出てきて乗った。
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サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時