検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:79,035 hit

拾肆 ページ14






「……A、か?」


 伊黒君にお礼を述べ、離れた刹那、唐突に新しい柱らしき男性に話し掛けられた。


「あら、知り合い?」

「それに、下の名で呼んでいることから察するに、結構親しき間柄なのだろう!」



「いや、……誰だったかな? 君」

「っは、?」


 うーん、その銀髪と目付きは何だか既視感在るような気もするのだけれど……。
 生憎、そんな傷だらけの顔面をした男を憶えていない。


「記憶力のいい太宰が忘れているとは……南無……」

「Aちゃん、この人は新しく柱に仲間入りした、しな」

「ああ、姐さん。一寸待って呉れ給え! 今此処まで出かかっているんだ!」


 呆然とした男をじいっと見つめながら、紹介しようとする姐さんを止め、“此処まで”と顎下をとんとん叩く。
 もう少しで……。


「えぇーと、んー、出てきそう……」

「A、頑張れ! わっしょい!」

「わっしょ……?」

「んんっ! 来たかもっ! 君は……」


 少し期待の眼差しを向けている男を指差し、出かかっている名前を口に出そうとした、その瞬間だった。




「よぉ、久しぶりだな! お前ら」

「げ……」

「派手にやってるか?」





 奴が、到着してしまった。





* * *





「うわ、最悪。ホント最悪……」


 奴……音柱の宇髄天元とは、途轍もなく犬猿の仲であった。


「けっ、相変わらず地味だな、太宰」

「君もね、蟋蟀野郎」


 地味だの、派手だの、何かと五月蝿くて煩わしくて図体だけは巨大な奴。
 蛞蝓より嫌いかもしれない。


「……で、Aちゃん。思い出した?」

「いや、此の蟋蟀の所為で吹っ飛んだよ」


 それから、蟋蟀と私で色々と言い合いをしているうちに、着々と柱が揃い、仕方がないので別室への移動を余儀なくされた。

 私が柱合会議に出たくない理由の本命が、この大嫌いな奴に逢いたくなかったから、である。

 はぁー、何だか今日は散々だな……。




 柱合会議の序盤、新しい柱の彼の紹介があり、名が判明した。

 “不死川実弥”というらしい。

 矢張り、と云うか、名前も聞き覚えが在る。在るのだが、如何にも全容が思い出せなかった。

 その時、




 “ンだよ、またさん付けかィ”

 “A、お前痩せたなァ。それに顔色もひでぇ。……あんま無理すんなよ”

 “お袋も弟や妹達も、もちろん俺もいる。ずっと一緒にいてやるから”




 全て、思い出した。






 実弥さん……か。

拾伍→←拾参



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (172 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
373人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。