拾肆 ページ14
*
「……A、か?」
伊黒君にお礼を述べ、離れた刹那、唐突に新しい柱らしき男性に話し掛けられた。
「あら、知り合い?」
「それに、下の名で呼んでいることから察するに、結構親しき間柄なのだろう!」
「いや、……誰だったかな? 君」
「っは、?」
うーん、その銀髪と目付きは何だか既視感在るような気もするのだけれど……。
生憎、そんな傷だらけの顔面をした男を憶えていない。
「記憶力のいい太宰が忘れているとは……南無……」
「Aちゃん、この人は新しく柱に仲間入りした、しな」
「ああ、姐さん。一寸待って呉れ給え! 今此処まで出かかっているんだ!」
呆然とした男をじいっと見つめながら、紹介しようとする姐さんを止め、“此処まで”と顎下をとんとん叩く。
もう少しで……。
「えぇーと、んー、出てきそう……」
「A、頑張れ! わっしょい!」
「わっしょ……?」
「んんっ! 来たかもっ! 君は……」
少し期待の眼差しを向けている男を指差し、出かかっている名前を口に出そうとした、その瞬間だった。
「よぉ、久しぶりだな! お前ら」
「げ……」
「派手にやってるか?」
奴が、到着してしまった。
* * *
「うわ、最悪。ホント最悪……」
奴……音柱の宇髄天元とは、途轍もなく犬猿の仲であった。
「けっ、相変わらず地味だな、太宰」
「君もね、蟋蟀野郎」
地味だの、派手だの、何かと五月蝿くて煩わしくて図体だけは巨大な奴。
蛞蝓より嫌いかもしれない。
「……で、Aちゃん。思い出した?」
「いや、此の蟋蟀の所為で吹っ飛んだよ」
それから、蟋蟀と私で色々と言い合いをしているうちに、着々と柱が揃い、仕方がないので別室への移動を余儀なくされた。
私が柱合会議に出たくない理由の本命が、この大嫌いな奴に逢いたくなかったから、である。
はぁー、何だか今日は散々だな……。
柱合会議の序盤、新しい柱の彼の紹介があり、名が判明した。
“不死川実弥”というらしい。
矢張り、と云うか、名前も聞き覚えが在る。在るのだが、如何にも全容が思い出せなかった。
その時、
“ンだよ、またさん付けかィ”
“A、お前痩せたなァ。それに顔色もひでぇ。……あんま無理すんなよ”
“お袋も弟や妹達も、もちろん俺もいる。ずっと一緒にいてやるから”
全て、思い出した。
実弥さん……か。
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サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時