Toy Box 2

空から落ちてきた天使2 ページ21

「ひろ〜、帰ったよ〜」

「おかえりっ、太輔！」





天使の名前は『ひろ』

……ホントは違うけど

本当の名前は、ひろが何度も教えてくれたけど、覚えられなかった

だって、長くてややこしいんだもん





「おれ、『ひろ』じゃないよ？」

「人間界の言葉にすると『ひろ』なんだよ。」

「え、そうなの？」





かなり無茶苦茶で強引な言い訳だけれど、素直な天使は案外あっさりと『ひろ』を受け入れた





ひろとの生活は、色を失った俺の私生活に新しい色を付けてくれた

ひろは人間界の色んな物に興味を持った





「太輔、これは何？」

「これは食べても良いの？」





大きな瞳を輝かせて、表情をくるくると変えながら俺に尋ねるひろは、可愛くて、愛おしくて、いつの間にか俺は、ひろのいない生活が想像できない程に、ひろにどっぷりハマっていた





「これ、おいしい！」

「うわ〜、ふかふか〜」

「太輔、いい匂い〜」





ひろが好きな真っ赤なイチゴ、ふわふわのタオル、しゅわしゅわのバスボム





ひろの笑顔が見たくて、ひろの好きなものをたくさん探した





「太輔、大好きっ！」

「俺もだよ。…ずっと一緒にいような。」





俺の言葉に、嬉しそうに頷いていたひろは

最近そう言うと、悲しそうに笑うことが増えた





「ひろ？」

「太輔……扉が…開き始めてる。」





忘れていた

いや、忘れたフリをしていた

ひろは…クリスマスに天上界に帰る…





「やだよ…」

「太輔…」

「ひろがいなくなるなんて、俺は嫌だ！」





どんなに叫んでも、どんなに涙を流しても

クリスマスはやってくる

ひろがいなくなるかもしれないと言う悲しい現実

その一方で、キスマイとしての嬉しいニュースに、弾む心を抑えられない

隣で大好きな人が、嬉しそうに微笑むから





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