星に願いを２ ページ18
「また見てるの？」
人間界を見る窓から俊の姿を見ていたら、ふいにミツに話しかけられた
「ん…」
「…また…彼、泣いてるの？」
「ん…」
「そっか…」
一緒に住み始めてから、なかなかデートに行けなくて
久しぶりにドライブに誘った
一緒に食事して、思い出の海を見に行こうって…
嬉しくて、楽しくて
あんなことになるなんて、微塵も思ってなかったんだ
目の前に突然現れた強い光
咄嗟に避けようとしたけれど間に合わなくて
薄れゆく意識の中、横たわる俊の温もりだけを確認したのは覚えてる…
気が付いた時、俺は自分の姿を高い場所から見つめていて
あぁ…自分は死んだんだって…
俊が生きてるのか知りたくて
でもどうしてもそこから動けなくて
もがいている所に現れたのがミツ
ミツは、死んだ人間をあの世に導く天使
つまり…死神だ
俺が死んでから、俊は笑顔を失った
仕事も辞めてしまって、外にも出ない
何も口にしない日もある…
俊が俺を追って来るんじゃないかって心配で
俺はこうして毎日、俊を上から見てるんだ
「大丈夫だよ。太輔がついてる。」
「ん…」
ミツが言うには、俊の寿命はまだ先みたい
寿命に至らない魂が、こっちに来ない様に見守るのも天使の仕事の一つなんだって
「ねぇ、たまちゃん？」
「…ん？」
「…彼に会いたい？」
そんなの会いたいに決まってる
ミツの言葉に驚いて振り向けば、困ったように笑うミツがいた
「会えるの？！」
聞けばミツは小さく頷いた
「聖なる日、たまちゃんと彼の想いが重なり合えば、思い出の場所で会える。」
「思い出の場所…」
「それは、奇跡みたいなものだけど…たまちゃんと彼なら、奇跡じゃなくなるかもしれない。」
「奇跡…」
聖なる夜…
本当に俺は俊に会えるんだろうか…
.
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作者名：MISA
| 作成日時：2018年3月2日 10時
