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「ちゃんと、痛いなら痛いって言って!」



「俺は、そうは思わねぇよ」




自分の痛みに鈍感の方が、他人のために素早く助けられるんじゃねぇのか。



「……そうだよ、今だって。

私がどうしてこんなに泣いてると思うの」







怒ってんのか?

お前が泣いてるわけなんて、俺は知らない。

少しの沈黙が訪れるとこいつはほら、そうでしょ。なんて言った。



あいつの言う通りになるのは、少し癪で。






「分かんねぇけど、お前の涙は綺麗だと思う。



だからいい。」





心に思ってることを吐き出した。


自分では褒めてるつもりで、これで機嫌が直るって思ってたのに。



何かを呟くとまた泣いて、保健室から出て行った。



俺の何がお前を傷つけたかなんて分からなくて。


ごめん、って誰もいない部屋に響いた。




あいつのあんな歪んだ顔、初めて見た。




.




彼が心配だった。

でも彼は自分のことを大切にしないから、私が代わりに泣いてたんだよ。



でも彼は私が言っても何処までも無頓着で、しかも私の涙が綺麗だなんて。

それ関係ないし、それに…、



「当たり前じゃない、あなたの為に流したんだから…。」




小さな声で言ったそれは、あなたには聞こえてたのかな。


彼に嫌気がさしたわけじゃない、ただ私が彼を手当することが、泣くことが無駄だって気づいたの。





だから私は、彼と卒業まで全くと言っていいほど、言葉を交わさなくなった。




.




2年後、俺は雄英高校に受かり、あいつは普通科の別の学校に行ったと、風の噂で聞いた。



俺に呆れたんだろう。



あんな風に邪険にしていれば、当たり前のことだ。


なのにどうしてか、胸が痛むんだ。



遠慮しいに消毒してくれる柔らかな手はもういない。

あの日みたいに、痛みに気付かないふりをした。




.


「君の、力じゃないか!!」



体育祭、緑谷の言葉、爆豪の言葉。


心の中で反芻しながら、Aの言葉を思い出す。



まだよくわかんねぇけど、

昔よりあいつが泣いてた理由が理解できるんだ。




爆豪との試合のあと、医務室に寝かされ治療を受け終わり、ベットに横になった。



「会いてぇ…」



あいつに、あいつに会いたい。

謝ってそれで言わなきゃならない。



多分俺はあいつの事____




「焦ちゃんっ!!」

.→←白露に【轟焦凍】



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鬱ネコ(プロフ) - 璃月さん» コメントありがとうございます!リクエスト、続編の方で死柄木さんで書かせていただきました。ご不満がありましたら書き直しますのでお申し付け下さい。ありがとうございました! (2018年12月14日 22時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - みすみさん» 競技かるた部なんですね!かっこいいです。ありがとうございます~!リク、遅くなりましたが書かせて頂きました。続編の方なので良ければ観覧お願いします。コメントありがとうございました (2018年11月26日 23時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - Runaさん» ありがとうございます!切ない話を書きたい、って常日頃思っているので、そう言って貰えると嬉しいです。好きだなんて光栄です。続編でもよろしくお願いします! (2018年11月9日 23時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
Runa - トガちゃんの話好きだななぁ・・・ちょっと残酷だけど、何かトガちゃんの報われない想いとか、切なくて結構好き。続編でも頑張って下さい。 (2018年11月9日 20時) (レス) id: 3e6d8cfb03 (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» ステイン様続編の方で書かせていただきました!遅くなり申し訳ありません。ご不満がありましたら、書き直しを仰ってください! (2018年11月8日 19時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鬱ネコ | 作成日時:2018年5月26日 14時

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