【ヒロアカ】鷹と雷鳴箸休め【番外編】 (ページ9)

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雷鳴と級友ページ9

今日は金曜日、所謂華金というやつだ
飲み屋街では明日からの休みに羽目を外しているサラリーマンや若者たちが伺える
横を過ぎるとプンとアルコールの嫌な匂いが鼻をかすめる
まあ、私もこれから飲むのだから文句は言えないか、と心の中でこぼし、友人との待ち合わせ場所に急ぐ

友人はそれはもう有名人で忙しく、１ヶ月にちゃんとした休みが2～3回あればいい方だと聞く
そんな少ない休みの数時間でも、こんな私に充ててくれるというだけで、今週の仕事も頑張って良かったと思える

「華代」

「A！」

待ち合わせ場所に着くとまだ友人は来ていなかったので、一応携帯を確認しようとした時、後ろから声がかかった

「すまん、待ったか？」

「ううん、私も今来たところよ」

「そうか、んじゃ、向かうか」

「ええ！」

彼女は八雲A、今をときめく若手ヒーローで"キキョウ"という名で大活躍中のＮｏ．4
最近では更にファンが増え、今やあの速すぎる男"ホークス"に引けを取らない支持率とも言われている

「なぁ、予約した店これなんだが、どっちに行きゃいい？」

「えっと、これはこっちね」

普段男勝りな性格とこのキリッと格好良く綺麗なビジュアル、尚且つ人当たりもいいスマートな対応が男性からだけではなく、女性からも大人気な彼女
なのだが、近しい人間だけが知る彼女の姿

まず一つが、あまり来ない場所では方向音痴を発揮する
多分ファンの皆さんは知らないだろう

今日来ている飲み屋街は、私の職場から近い所にしてもらった為、Aはあまり立ち寄らない場所なわけで、それなのにきっちりお店を予約してくれているんだから、これはまた惚れるわ

「わざわざごめんね、忙しいのにこっちまで来てもらって」

「あ？別にいーよ、忙しいと言えば華代もだろ？最近は残業が多いって言ってたろ」

「まぁ、そうなんだけど、残業の量もそもそも普段の仕事量が私とじゃ比べ物にならないでしょ？貴女の場合」

「あー、まあ気にすんな、別にそこまで遠い訳じゃねぇしな」

そう言ってサッと車道側を歩いてくれる彼女に、実は私の彼氏か何かだったのかしら？と錯覚を起こしそうになる

他愛もない会話をしながら目的の店まで歩いているのだが、そんな時間さえもっと続けばいいのにと思ってしまうくらい、私は彼女を親友として大好きなのだ