【ヒロアカ】私の個性は、人を愛しちゃいけない。【上鳴電気】 (ページ8)

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episode7 ページ8

体が重たい。

私は夢と現実の狭間にいるような、そんな感覚に陥っていた。

閉じられていたらしい瞼を開けると、そこは病院の天井のようだった。

私、夢を見ていたんだ。

とても、愛おしくて、なのに悲しい夢。

「A!?目覚ました!?」

横から声がして、頭を向けるとそこには三奈がいた。

「あれ、お見舞い来てくれたんだ」

「なに寝ぼけてんの!お見舞いも何も、あたしが運んできたの!」

その言葉を聞いて、意識が一気に現実世界に戻される。

……全部、夢じゃない。

だとしたらここはどこ?

「保健室だよ。目覚ましたばっかじゃ混乱してよくわからないよね」

まるで私の心を読んだかのように、三奈はここがどこか教えてくれた。

「……上鳴くん」

「え」

「三奈、上鳴くんは?」

ふと気づいた彼の存在。

もしさっきのが夢じゃないのなら……。

「あいつは今、切島といるよ」

そう教えてくれた三奈は、こうなった経緯を話し始めた。

・

私が倒れる寸前の出来事を、2人は目撃していた。

そして、私か倒れてから三奈は私に駆けつけ、急いで保健室に運ぶように切島を促す。

だけど切島は上鳴くんに殴りかかって……。

__こいつのことが好きなら、もう近づくな。

そう言った。

三奈は2人を見ていられず、何とか1人で私を保健室まで運び、私が目覚めるまで待っていた。

・

「だから切島と上鳴が一緒にいるって言うのはちょっと前の話。正直今はわからない」

私は1時間ほど眠っていたらしく、その間も2人はこちらに顔を出すことはなかったらしい。

……私は、彼を傷つけた。

やっぱり私には人を愛する権利なんかない。

それでも、傍にいてほしかった。

「三奈」

「ん?」

「私、もうこの個性嫌だよ……」

耐えていたものが、一気に溢れ出した。

三奈は私を抱き寄せ、優しく背中をさすってくれた。

「大丈夫だよ。いつか必ず誇れる個性になるから」

それ以外、何も言わなかった。

私は三奈の優しさに甘え、思う存分泣いた。

……こんなにも自分の個性を憎く思ったことはなかった。

それくらい、彼が好きだった。

だって彼は私のヒーローだから。

あの時、ヒーローも警察も手をつけられない状態の中、見捨てずに私を助けてくれたヒーロー。

あんな素敵な人、好きになるななんて言う方が無理だ。

本当は彼に会いたい。会って触れたい。

私は無駄とわかっていながら、心の中で強く願っていた。