■ ページ40
「ヤー誕生日おめでとう！」
「ありがとう、みんな」
ろうそくが立てられたケーキ。
こうして毎年、メンバーは祝ってくれる。
たった、1人。そこに最愛の人はいないけれど。
「ヒョンもついにアラサーかぁ…………」
「ヤー、それが現実だよ」
「ヒョン顔だけは老けないもんね」
「どういう意味だよ、ナムジュナ」
失礼も大概である。
でも、こうやって。
また、笑いあえてよかった、なんて。
「………………電話しないの？」
「え？」
「Aちゃん。祝ってもらったら？」
VLIVEも終え、ベッドに寝転がるホソガ。
………………いいのかな。
「ついでに誕生日プレゼントは君がいいって言えばいいじゃん」
「それは、さすがに…………」
いつからだろう。
Aちゃんのことが、頭から離れなくなっていた。
それは、恋なのかどうか。
あまり恋愛に詳しくない僕は、よくわからない。
だけど。
あの子といたら、すべてを忘れられる。
「かけるだけかけてみな。言うかどうかはともかく。
電話しちゃいなって」
……………してみよう。
短く息を整え、通話ボタンを押す。
「もしもし？あ、お友達の………、
はい、Aちゃんは？
え？ちょっと、用事があって。えぇ、はい。
＿＿＿＿＿＿え？」
思わずスマホを床に落としてしまう。
どうして。
「ヒョン？どうしたの？」
「…………………っ、なんでっ、」
今日は僕の誕生日。
楽しい、嬉しい日のはずなのに。
＿＿＿＿どうして、神様はこんなに残酷なの？
「Aが、交通事故で………重体で………！」
この日は、いつも僕から。
大切な人を奪うの？
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作者名：つばき。
| 作成日時：2020年5月27日 12時
