浪漫.53 ページ8
Aに約束を断られたあと、2人はすることも無く一緒に街を歩いていた。
「菱田となら」「泉なら」と少ない言葉数でここまで歩いてきたのだ。
なんとなく、あの場で別れるのも気まづかったし。
にしたってAになんの用事があったのだろうか。
あのAの西洋っぷりを見るに、どう考えても東亰に知り合いがいるとは思えない。
…だとすると。
考えられるのは、ほわほわと浮かぶ「逢引」の二文字。
その二文字は、2人の男を騒がせる。
菱「…泉、どうする。」
泉「はぁっ?!どうするって…、っその……。」
菱「行くの、行かないの。」
泉「…行く。」
・
・
泉「…A……?」
「……っ…あ……………。」
菱「……大観、Aを泣かせたの…?」
横「はァっ?!ちがっ、
「違う、違うの。大丈夫だから、大観は何も悪くない…勿論廉太郎だって何もしてない。」
滝「Aさん…体調は?大丈夫…?」
「…ありがとう廉太郎。大丈夫だよ。」
横「って言ってもお前…顔色が……。」
「ごめんごめん…ちょっとふらついてさ。昨日あんまり寝れなくて。」
そう。
菱田と泉は、いつだって嫌に勘が冴えている。
その勘は、大抵悪い時に当たる。
Aがなんで泣いたのか。
Aがなんで顔を青くしたのか。
なんとなく、憶測でしかないのに。
やけに真実味を帯びている考えが、頭の中に浮かび上がった。
”君が何処かに、行ってしまうのではないか。”
菱「…ねぇっ、ちょっと。」
泉「待って。」
「……鏡花ちゃん…春草……?」
捕まえた腕を、
離さないで。
.
169人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - ちょこれーとさん» 私ハピエン厨なくせにそこまでいくのに死ぬほどシリアスにしたい民だから、良ければ付き合ってやってください…最後は幸せにするぞ!!笑 (2019年12月12日 16時) (レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - なんかラストに向けてが切ない… (2019年12月10日 19時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ