浪漫.60 ページ15
・
｢梅雨Aさんっ史上最年少の明治賞、おめでとうございます！｣
四年後。
彼女…今井A 21歳は、大学三年生だった。
彼女があの時覚悟を決めたこと。
それは、小説家の道に進むこと。
バカにされると思っていた。
あの子は真面目だから、
あの子は出来る子だから。
そう言われて真っ直ぐに生きてきたつもりだったが、いつの間にか自分の夢も堂々と言えないような奴になっていた。
なんでせっかく持った夢を、誇らしく掲げられないのだろう。
・
そんなふうに考えたAは、大学在学中にひとつの小説を書きあげた。
その小説をダメもとで出版社の賞に応募したところ、受賞自体はしなかったもののまさかの出版社からお呼び出し。
所々の手直しを加え修正しながら、約半年かけて出版にまで至った。
そしてその本がまぁ大当たり。
レトロやエモいというものが流行っている若者通しの中で、Aの本は跳ね上がるように売れた。
勿論、噂は噂を呼び年代を飛び越えて売れるようになっていく。
・
そうしてこうしての今日、とうとう明治賞という明治の文豪からなぞられて作られた賞を貰うことになっていた。
今日はその授賞式だ。
世間に顔を出すのは初めてで、少し…いやとても緊張している。
自分が書いた小説が認められたのだ。
堂々としていたいけれど、足がすくむのも事実。
あの時決意した時の顔より少し大人っぽくなった自分を鏡で見つめる。
｢…大丈夫、きっとやれるよ。｣
その言葉に答えるように、
髪が一層艶めいたように見えた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - ちょこれーとさん» 私ハピエン厨なくせにそこまでいくのに死ぬほどシリアスにしたい民だから、良ければ付き合ってやってください…最後は幸せにするぞ！！笑 (2019年12月12日 16時) (
レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - なんかラストに向けてが切ない… (2019年12月10日 19時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
