涙腺3 ページ25
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桐山side
雑誌の取材中
今はAが取材を受けてるところやから
チラッと見に行ってみた。
「グループはもう何年目になるんですか?」
桜木
「今年で7周年になりますね」
「結構長いんですね」
桜木
「そうですね、デビュー前から数えたら
もう14年?一緒にいますね」
14年...か。
もうそんなに。
Aと出会った時はほんまにちっちゃくてなあ
でも、ちっこいくせに大きくダンスしよるし、
歌声も声量は十分にあって申し分ない。
いわば『完璧』なはずやのに、
どこか自信が無さげで
常に向上心を忘れない。
そんなAは先輩には可愛がられ
後輩には憧れを抱かれ懐かれるような子で
噂によればソロデビューの話も来ていたとか...。
その話を思い出すのと同時に
デビュー当時のインタビューで
『8人でのデビュー以外は考えられなかった』
と言っていたのを思い出す。
ほんまにソロデビューの話はあったのか
もしあったとして、なんでそれを蹴ってまで
"8人"にこだわってくれたのか。
決して俺ら8人全員が同じ実力とは言えへんかったし
なんなら俺らがAの足を引っ張ってるんじゃないか
そう感じた日もあった。
桜木
「あれ?照史くんどーしたの?笑」
桐山
「いや、1人じゃ寂しいかなぁと思って迎えに来た」
"楽屋すぐそこやし1人でも帰れるよ"
なんて言い返して来るかと予想してた
昔は毎日のように「桐山くんも着いてきて」
って言って来てたぐらいやのに
いつの間にか大人になって
多分寂しいのは俺の方やな
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか
桜木
「確かに、寂しかったかも」
なんてイタズラっぽく笑いかけてくる
あの頃と変わってないんか、
ちゃうな一緒に成長してんねや。
今こうして笑い合えてんのは
ちゃんと"みんな"が同じ歩幅で歩いて来たから
決して平坦な道とは言えへんけど
デコボコしているこの道は
1人で歩くには勿体ないもんやな。
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作者名:Kyaki | 作成日時:2022年8月18日 14時