四十四 ページ46
土井先生
天女と山本先生がお話ししているのを盗み聞いていた。
図書室で忍たまの友を借りた理由を話す時、もっと動揺して怪しい動きをしてくれれば、こちらもこちらで動きやすいものを、天女は単純な好奇心と学びたいという気持ちだけしか抱いていないらしい。
それは疑うことなく本心で、その声色や山本先生のお話を聞いてメモしている様子は、まるで新しいことを教えた時の一年生のようだった。
ただ生徒たちと確実に違う点は、この天女は多くの実験をしてきたという点。
恐らく好奇心に突き動かされるままに、学びを知識ではなく経験として身につけてきたのだろう。
山「今回の天女は、ある意味変わってるな」
向かいに座っていた山田先生が、感じ入った様子でそう呟いた。
土「本当にそうですね。あんな天女は初めてですし、ひとりの人間として見てもあのようなタイプは初めてな気がします」
山「未来ってのは、そういうことなのかね」
土「時代の時代、その最先端ですよ。きっと」
私たちが見てきた天女は、未来の人間だけれどもとても頭が固くて、街を歩いた時にたまに見かける路地裏で弱いものいじめをするような分類の人間だったのだろう。
しかし彼女は、きっと本当の意味で時代を担っている人間なのだ。
時代を変えると言ったら大層なものに聞こえるけれど、少なくとも彼女は出会った人間の何かを変える。それが渦巻きのようにあたりを巻き込みながら変えて行かせることの出来る人物なのだろう。
そう思わざるを得ないほど、彼女は「未来」だった。
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まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます!コメントとても嬉しくて励みになります! (2019年8月2日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます!初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください! (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん!この作品とても面白いですね!私、これ読んだ後、「ふぅ〜面白かった…な…え!?何この題名!?夢主消えるの!?」って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まる | 作成日時:2018年11月13日 21時