虎が残した傷痕５【文スト】 (ページ12)

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２１１．ページ12

ある日の横浜の夜＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

『～♪～♪』

Aは夕食の材料を買い終え、寮に戻る途中だった。

その時、ふと脚が止まる。

『今の音は？』

何か物音がし、その音がした方へ足を動かした。

先程の物音は路地裏から聞こえ、Aは路地裏へと歩いていった。

その時、Aの足の裏に何かがへばりつき、しゃがみ込んで確認する。

『……血？』

暗闇に目が慣れてくると、その血痕はずっと奥へ続いていた。

Aは恐る恐る警戒しながら進んでいく。

すると、そこで目にしたものにAは驚いて手にしていた荷物を落としてしまう。

路地裏の奥、そこにいたのは、倒れている社長だった。

『社長！』

Aは血相を変えて倒れている社長に駆け寄る。

社長は気を失っているのか返事がない。

Aは携帯を取出し、与謝野に連絡する。

『与謝野先生！緊急事態です。社長が何者かに襲われ気を失っています！』

与《何だって？わかった今すぐ探偵社に連れて帰ってきな》

電話を切り、社長を運ぼうと立ち上がった時、目の前に仮面を着けた男が立っていた。

『誰……？』

「死を、死を。永遠に目覚めぬ泥土の眠りを……異能者に死を……」

福「A……逃げろ……」

『社長っ！くっ……』

社長はそれだけ云うとまた気を失ってしまう。

『貴方が社長をこんな目に……』

「罪深き者には永遠の眠りを……」

その瞬間、仮面の男が鎌のような武器を片手に襲いかかる。

Aは社長を抱えたまま、器用に躱していく。

そしてその鎌が目の前に来た瞬間、Aは鎌を蹴りあげる。

鎌を手放してしまった仮面の男は一瞬たじろぐ。

その隙を見逃す筈も無く、Aは仮面の男の鳩尾に蹴りを入れる。