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Aがその場を去ろうとすると、Aの後ろには木にもたれかかっている中也がいた。
『なんだ、いたの』
中「手前……何つー顔してんだよ」
Aの顔は、悲しみと後悔でいっぱいの表情だった。
『もう用事は済んだから帰りましょう、首領も報告を首を長くして待ってる頃だろうし』
中也の横を通り過ぎた時、Aは知らぬ間に中也の胸の中にいた。
中「ほら、泣けよ。今死ぬほど辛ぇんだろ
無理して強がったっていいことねえだろ」
『強がってなんかいないわよ』
中「じゃあなんで、墓じゃなくてここを選んだ?」
『……私には彼のお墓に行く権利はない
そう思っただけよ』
中「そうかよ……」
Aは抑えきれなかった涙がこぼれ落ちる。
中「ったく……自分で言ったことで泣くなよ……」
中也は文句言いながらもAを抱きしめる腕を離そうとはしない。
『迷惑なら別に抱きしめなくていいけど……』
中「あ?よく聞こえねーなー?」
中也の抱きしめる腕はさらに強くなった。
『……ありがとう、中也』
中「どういたしまして、だな」
『聞こえてるじゃないの』
中「あたりめエだろうが
お前の言葉は一語一句聞き逃したりしねえよ」
中也の笑顔がその時のAには少し眩しく感じたのは気のせいでありたい。
『……最小くせに』
中「聞こえなかったか?一語一句聞き逃さねえって云ったよな俺?
殴られてえか?」
『ふふ、まさか。死んでも嫌よ』
中「お、元気になったみてえだな
帰るか?」
『ええ、もう大丈夫
ありがとね、中也』
中「俺に惚れたか?」
『まさか、私はそう簡単には落ちないわよ』
中「ま、そりゃそうか」
先に進んでいくAを中也が追いかけ二人は本部へ戻った。
この時のAはまだ知らない。彼女の中に眠るこの感情の正体を______
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作者名:紫陽花 | 作成日時:2018年6月3日 22時