【イナGO】魔法の国のドラゴンの少女

§魔法38§　京介side ページ42

「みんな！あの黒い渦にあたるな！」


円堂先生がそう叫んだ。


俺たちはなるべくAから、離れた。


黒い渦は大きくなる一方で、小さくなる気配がない。


ふと後ろを振り返ると、さっきよりAが小さくなっている気がした。


服もだんだんダボダボになり、幼い少女となった。


『みんな、まって！Aをひとりにしないで！』


Aは泣きながら、俺たちにそう訴えた。


『Aが¨わるいこ¨だから、みんなきらうの？Aがパパとママとのやくそくをやぶったから…』


「A………」


俺はゆっくりとAに歩みより始めた。


「剣城！危ないよ！」


松風が俺にそういった。


「Aは過去に縛られたままだ！俺がその過去と言う名の呪縛からAを解き放つ！」


「俺も行く。」


「俺もだ。」


霧野先輩と神童先輩が、そう言った。


俺たちは、黒い渦の中へ入った。


黒い渦が俺たちの魔力をじわじわと奪っていく。


やっとの思いで、渦の中心に着いた。


そこには、小さくなったAがいた。


『きょ…しゅけ？』


「A…！」


俺はAに抱きついた。


「Aは悪い子何かじゃない。いい子だ。」


俺はそう言ってAの頭を撫で始めた。


『Aはいいこ？』


「そうだ。Aはいい子だぞ。」


神童先輩が優しくAの頭を撫でた。


「Aは悪い子じゃない。俺たちが悪い子だ。ごめんな。」


霧野先輩Aにそう言った。


気づいたら黒い渦はなくなっており、Aの羽と尻尾も、白くなっていた。


そして大きさも、元通りになっていた。


『京介ありがとう。私ね…京介のことがす、好き。』


Aの頬は紅く染まっていた。

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