敵のメリークリスマスIn大晦日 ページ4
12月31日。
世間一般で言うなら、大晦日……のはずだ。
「どうして、教会にクリスマスの飾り付けがされているんですか……」
クリスマスはもう過ぎたはず。
仏教ではないけれど、教会でも新年は祝う。
なのに何故クリスマス……?
そもそも帰って来たら勝手に飾り付けられているなんて。
「何からツッコめば良いか分かりませんよ……」
魔王城の近くへ偵察に行った帰り。
ラトスは、かすかに流れるジングルベルを聴きながら立ち尽くした。
「あたしとお姉ちゃんでやったんだー!」
マリーナが、姉のカリーナの腕を引いて現れる。
「どうどう? 綺麗でしょー!」
「……マリーナ、一人、忘れてる。……彼も」
マリーナが指した先に、もう一人のラトスの仲間である日向がいた。
「ちょっ……貴方様まで乗り気なのですか!?」
「うん、まぁ、楽しいから良いんじゃないかな、と思って。ここじゃあ戦闘もできないから、退屈でしょ」
無表情の日向とカリーナ、テンションが上がってぴょんぴょん飛び跳ねているマリーナを横目に、ラトスは大きなため息をついた。
「はぁ……ここは神様を崇拝する場所ですよ? 別に楽しくなかろうと……」
「あなたは良くても、あたしとお姉ちゃんが楽しくないと嫌なの! ねぇカリーナお姉ちゃん?」
「……あれ、俺は含まれてないの?」
再びため息をつくラトス。
仲が良いのは結構だが、あくまで自分達は一人の男の討伐を目指す者達である。
こんなに平和で良いものなのか……。
「……プレゼント交換……」
カリーナが、ぼそりと呟いた。
「プレゼントだなんて……唐突に言われても用意できないのですが……」
「別に、何でも大丈夫だと思うよ。あなたの想いが込もっていればね」
「想い……ですか」
好きな人への想い。仲間への感謝の気持ち。
普通は、そういうものを込めるのだろうが、この男は違った。
(魔王への殺意を込めたプレゼントを仲間に贈るなんて……)
意味がないのではないだろうか。
どうせなら、魔王本人に贈りつけてやりたい。
「あっ! 絶対また怖いこと考えてるー!」
「……貴方が、魔王を憎むのは平気。……でも、マリーナを傷つけたら、容赦はしない……」
「俺がマリーナやカリーナを傷つけるわけがないでしょう。それより、するなら早くしてしまいましょう」
「あ、ラトスこそ意外と乗り気なんだね」
面白がるような日向の台詞――ただし真顔のまま――をきっかけに、プレゼント交換が始まった。
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くろーさぎ(プロフ) - 百鬼<ナキリ>さん» ご感想ありがとうございます……!! はい、ヴェレスさん使わせて頂きますね!! (2020年1月11日 20時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
百鬼<ナキリ>(プロフ) - とっても面白いですね…!!コメント失礼します、村長のヴェレス・アーモンで参加しております百鬼です…!使い所があるかわかりませんが、うちのヴェレス使って頂いて大丈夫ですよ…! (2020年1月11日 20時) (レス) id: ca05edce76 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 一糸さん» 素敵なお言葉をありがとうございますー! 励みになります、頑張らせて頂きます! (2020年1月3日 17時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
一糸(プロフ) - くろーさぎさん» うちの子日向を出していただきありがとうございます!!うちの子可愛い← これからも頑張ってください!! (2020年1月3日 12時) (レス) id: 3013a3dfb6 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - にゃうだーさん» ありがとうございます! そう言って頂けて嬉しいです、ありがたく使わせて頂きます!! (2020年1月2日 10時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
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