198，必要とされている ページ8
「というか私、自分が眠りにつく前に何があったのか知りたいんですよ。あと、あの謎の機械？装置？のこと」
そう言うと、皆の動きがピシリと音を立てるかのように硬直した。え、怖い
「ええねん、そんなこと気にせんで」
「せやぞ」
子犬コンビがきゅるんっと声を作って誤魔化しに来たけど、そこが個人的に一番大切なので誤魔化されると困る
「なぁんで知る必要があるんですかねぇ」
「そりゃ、だって。自分がよく分からない所にいる方が怖いじゃん？何かあったら嫌だし」
「今普通なんやから平気やろ」
「それはね暴論っていうんだよ」
一向に教えてくれないどころか、だんだんと撫で撫でを要求してきた二人。えぇい！こうなったら１０ヶ月ぶりのもふもふを思いっきり堪能…
『こっち』
しようしたけれどやめた、声のする方を見れば誰もいない。回りはまた当事者を置いて議論を続けている…行った方がいいのかな
『此方です、スプリング』
スプリング、またスプリング。でも、それが何より今重要で有ることはわかってる
私がそれだと言うなら知る必要がある
「A？どこ行くんや」
「そっち壁やで」
わかっている、けど。こっちだ
行ける、このくらい今の私なら【魔術】を行使してしまえば何もかもができるから
「Aちゃん、行ったらアカンって」
「先輩？」
「行ったらアカンよ、聞いたらアカンねん」
先輩がそっと耳に手を添えてきた、これでは何も聞こえない。近くにいる先輩の声以外何も
「先輩、どうして耳を塞ぐんですか」
「聞いちゃアカンからや」
それでも脳内に響く誰かの声
男だったり、女だったり、子供だったり
皆が皆、私を求めて優しく声をかけてくる
「でも行かないと」
「壁に何があるっちゅうんや？」
「【魔術】を使えば、どこにだって行ける」
「何処にいくつもりなん？」
「わからないけど、声のする方へ」
「それは僕達より大事な声？」
「…わからないけど、少なくとも今の皆より私を求めてる声だった」
今の皆は、私に何も教えてくれないから
それなら声のする方に行くべきだと思った
「帰ってくるからいいですよね？」
「ダメやで」
「でも、必要とされてます」
「いったい誰に？」
「わからないですけど」
その様子を見守っていたグルッペンは深くため息をついて、トントンと何やら話している
「A、お前は『トントンのサポート役』だ。行っては困る」
グルッペンにそう言われるとストンと自分がその場に収まるように声は聞こえなくなった
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りと - 一気に全部読んでしまいました…世界観の複雑さに何度か頭を悩ませましたが、色々考察出来て楽しかったです！天使、悪魔、人間、そして神…いずれも人間という概念に縛られて自分を見失いながら生きて(？)いる…。え、これ無料で読んで良かったん…？お金払わせてェ！ (5月31日 0時) (
レス) @page42 id: 3c068a4e58 (このIDを非表示/違反報告)
1103(プロフ) - とても楽しく拝読させていただきました。ありがとうございます！ (2022年9月23日 1時) (レス) @page42 id: d3023c1d20 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - ランキングにはのってないね！！うん！！でも続編かきたいね！！勘違いやわ！！ (2020年3月9日 2時) (レス) id: 8b85c6a757 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - ありがたい事に、この話。未だランキング乗り続けているんですよね…シリーズ全体的に。いつか、続編というか、主人公ちゃんが人外になってからの話を書くのも、いいかもしれませんね (2020年3月9日 2時) (レス) id: 8b85c6a757 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - ちゃっかり新シリーズ出てますので、よろしければご贔屓に… (2019年10月6日 18時) (レス) id: da4b35a571 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜空音 | 作成日時：2018年10月12日 0時
