【wrwrd！】魔王様拾いました 5【人外パロ】

209，嘘つき ページ20

その曇りのない笑顔に、私は嘘をついた

「よかったんすか」
「ショッピ君、聞いてたの」
「聞いてましたよ、騙されたふりなんて」
「先輩に言ったら殺す」
「言いませんよ、興味もない」

先輩に対する思いは本物だ、それに先輩に思う不安も本物だ。私だけ見てくれないこと、それは私にとって耐え難い恐怖だった
高慢？トラウマなんだ、一人愛しい人をまつ日々が、もう帰ってこない恐怖が

「ゾムさんの思いも無下にするなんて、本当にAなんすか？」
「そうだよ、でも。どうだろ…私はもう人間のAじゃないらしいからね」
「そうっすね」
「それよりもショッピ君、協力ありがとう。おかげでまんちゃんに見つからず抜け出せた」

それよりも、問題は山積みだった
今は地獄に行かなくてはいけない
ショッピ君の情報の裏付けをしなくてはいけない

「グルッペンさん、大変らしいっすけど放っておくんすか」
「根本を解決しなきゃどうしようもないと思うの」
「そうっすけど」
「それに、たぶんコレのせいだから」
「それ、いつから気づいてましたか」
「気づいてはいたけど、理解できなかったの方が正しいかな」

それに気づいたのはずっと最初、口の中に血の味が滲んだあの時の痛み

「見せてくださいよ」
「んっ」
「へー、結構がっつり刻まれてますね」
「ほうなんらよ…もういい？人の舌じろじろ見たって面白く無いでしょ」
「いや、面白いっすよ。間抜け面」


「なんすかその顔」
「ムカつくなって」
「言うようになりましたね、最初はあんなに弱々しかったのに」
「その節はどうも、次あったら絶対に殺すから」
「パス、野蛮な女は嫌いですから」
「どっちが」
「…そろそろ」
「わかってる」

行くのは、声のする場所へ
目覚めたあの時聞こえた場所へ
地面に手を翳せば簡単には落ちていける

「グルッペンさんは、アンタとのその契約のせいで、弱ってるんですよね」
「仮契約なんだけどな」
「呪いじゃ無いっすか？俺とクソ先輩の繋がりみたいな」
「違反行為でしょ？天法会議ものだよ」
「いまなら、っすよ」

術式が刻まれた地面がだんだんと形を歪めた、その歪みの中に足を踏み入れれば
私は、何者でも失くなってしまう気がした

「それで構わない」

そこに足を踏み入れれば、簡単に堕ちていけた

どこまでも、どこまでも、地獄の奥底へ

世界の確信へ

「私がやらないと」

共に堕ちてくれるとは思ってなかったよ

「もう堕ちてるようなものっすよ。俺達スプリングなんて」

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