【ポッピングシャワー ~恋の予感~】 (ページ24)

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[礼王side]

ドキュメンタリーDVDの撮影終了後の打ち上げを終えた俺は宿泊先のホテルに戻っていた。

撮影からの解放に気が緩み、少し飲みすぎたお酒が回って気持ちがいい。

ふと目に入ったカレンダーの日付。
最後にAさんに会った日から1ヶ月が過ぎようとしていた。

(Aさんに会いたいな………)

そんな思いを込めて彼女へメッセージを送る。

｛Aさんのご飯が恋しい｝

すぐに既読がついて、

｛向こうに美味しいものたくさんあるでしょう？｝

と諭すような返事。
俺の意図がうまく伝わらなくてもどかしくてもう少し踏み込んでみるのに、

｛Aさんと食べるご飯には勝てない｝

｛誉め上手な子…！｝

Aさんに子供扱いされる始末。

……それならそれを逆手に取るまでだ。

｛じゃあご褒美くれる？｝

半ば強引に話を繋げる。
既読はすぐについたのになかなか繋がらない電話。

(あ、でたっ…!)

｢Aさん…？｣

と声をかけたのに応答がない。

｢おーいっ…あれ、繋がってない…？｣

電波が悪いのかな？地方だから？
と思い、コンセントの近くをうろうろする。
俺の作戦が功を成してか

『…ふふふっ…聞こえてるよ』

と柔らかく笑う彼女の声が聞こえた。
1カ月ぶりの彼女の声に癒された俺は饒舌に喋り出す。

「よかった………声も聞けずに切れちゃったのかと思って焦った～！」

『……突然どうしたの？』

(用がないとかけちゃダメなの…？)

これといった用が思い浮かばず思いのままに

｢……なんか急に声が聞きたくなって｣

と告げると

『ホームシックなの？笑』

とドライな反応。
彼女と俺との温度差を感じて

｢…そうかも笑｣

なんて気の利かない返事しかできない。
俺がそんなんだから彼女も

『…そっか笑』

と困ったように笑う。
どちらも声を発っさない静寂が訪れる。

突然前触れもなく電話を掛けて、

勝手に舞い上がって、

落ち込んで、

ジェットコースターみたいな気分の上げ下げは自分発信で始めたことなのに、
いつでも俺より余裕な彼女に俺の感情の波風がたつ。

俺はこんなに会いたいのに………

自分の一方通行の思いが切なくて、

悔しくて、

俺は感情の思うままに

｢…Aさんは寂しくない？
俺はAさんに会えなくて寂しいよ｣

と囁いた。