末っ子彼女は甘えない【センラ】

辰海恋歌様リクエスト ページ29

センラside



「ただいまー。」


久しぶりに一緒に飲もうと思って買ってきた缶ビールの入ったビニール袋を左手にぶら下げて、右手に持った鍵でドアを開ける。

もちろんビールは莉子がよく飲んでいる銘柄のものだ。


(…あれ？)


玄関に並ぶ靴を見て違和感を覚えた。

一見いつもと変わらないように見えるのだが、莉子のスニーカーが一足無くなっている。

とはいえ別に初めてなわけではなく、前にもコンビニに行ってたこととかが何回かあったので今回もそんなところだろう、と思ってそのまま家に上がった。

のだが……………


(遅すぎん？)


帰宅してから30分、一向に帰ってくる気配は無い。

LINEで送ったメッセージには既読すらつかない。

電話をしてもコール音だけが鳴り続ける。

いつもとは明らかに違う事態にだんだん不安とも似た焦りに近いような感情が沸き上がってくる。

いてもたっても居られなくなり、玄関を飛び出そうとしたその瞬間。

ドアが開き、外にぽかんとした表情の莉子の姿が見えた。

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