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目の前に聳え立つのは高さ3メートルほどの重厚な扉
この扉1枚を挟んだ奥には、この国のトップである「グルッペン•フューラー」が私のことを待ち構えていることだろう。
付き添いのメイドさんの姿はもう見当たらず、部屋に入るのは私だけ
コン、コン
「入れ」
扉はきちんと手入れが施されているのか、見た目よりも軽くスムーズに開いた
『失礼致します』
赤い絨毯に脚を踏み入れたが、恐怖心からかまだ顔を上げることが出来ていない。
自分から見える脚はプルプルと震えていて握っているドレスには皺がつき、側から見ると死刑宣告を待つ罪人のようであろう。
実際罪人なのだが。
「名を名乗れ。そして、何故お前がここにいるか分かるか。」
『はい。私はA•オルティスと申します。戦時中に禁止されているのにも関わらず勝手に国を援護したために此処に呼ばれました。』
「よかろう。ではもう一つ、お前は何者だ?」
予想外の質問だった。私は一体何者であるか。もちろんただの市民である。自分が1番分かっているがそれを聞いて一体何になるのだろう。
『ただの取り柄もない女市民でございます。』
「それはないな。ゾムから話は聞いた。お前、あの戦地でプネラ兵を何十人も倒したそうじゃないか。そんな奴がなだの市民だとは到底思えないけどな?」
『ゾム様のお話が大袈裟なだけです。たかだか数名程しか手に掛けておりません。本当にただの市民です。』
「どうだか!この銃も調べさせて貰ったが素人向けの物じゃなかったけどな?ましてや19歳の女が使える物なんて信じられん。」
そう言って彼は私の銃を眺めながら少し笑うように話した。調べるなんてこんな短時間でどれだけ調べられたのか。
我々国の軍事力は自分の思っていたよりも恐ろしいものだったらしい。
また反論しようとした時、彼の後ろの窓の向こうが小さく光ったように見えた。
『…ッ!?』
思い立つと身体が勝手に動いて、総統閣下の腕の銃を無理矢理奪い取りスコープ越しにその先を見た。
相手は気付かれると思っていなかったのか、構えていた一発目を盛大に外し狙いを定め直していた。
そんな隙を見逃す訳にはいかない。
引き金を引いて勢いよく飛び出した弾丸は確実に心臓部分を射抜き、撃たれた者は高い木の上から落ちていった。
『距離532メートル程の木の上から総統の命を狙っていた輩がいました。国の頭ですのでもっと危機感を持った方がよろしいかと。』
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未雨(プロフ) - エモンガさん» コメントありがとうございます。頑張って更新ペース上げてくのでこれからもよろしくお願いします! (2023年2月26日 23時) (レス) id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
エモンガ - 初コメ失礼します!応援してます!投稿も頑張ってください! (2023年2月25日 17時) (レス) @page30 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
未雨(プロフ) - 天天さん» コメントありがとうございます。是非是非夢主ちゃん描いてあげて下さい!これからもよろしくお願いします! (2023年2月15日 23時) (レス) id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
天天(プロフ) - 未雨さんの書き方大好きです〜!夢主ちゃんの瞳の色も気になるところ!!良ければ描かせてもらってもよろしいでしょうか…? (2023年2月15日 18時) (レス) @page21 id: bc837922a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未雨 | 作成日時:2023年1月24日 23時