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かなしいおはなし(1話) ページ2

ピンポーン

少し古いレトロな貫禄を感じる家の前に私は立っている

ここが松野家だ

ピンポンを鳴らすと、直ぐに聞きなれたあの陽気な声が聞こえた

ドタドタと足音が家の中から聞こえ、

「はいは〜い、どちらさまぁ〜?」

ドアをガサツに開けて出てきたのは
昼寝直後なのだろうか、重そうな瞼で此方をみるおそ松だった。

おそ松は私の顔を見るなり、怠けた顔を直ぐに正し
「どした 何があったの、」

と聞いてきた
泣いてるわけじゃないのになあ
さすがおそ松だ

「いや、色々あってさ カラ松のことで へへ」
無理矢理口角をあげて笑ってみせたが、この人には作り笑顔は通じないだろう

「…取り敢えず上がってよ。」

と家のなかへ私を招き入れた。

丁度だれも家にいないのか、静かな、だけども少し寂しい雰囲気が漂っていた

2階の部屋に入り おそ松は床にドカッと腰を下ろし
目を伏せながら頭を掻いた

どうしよう言い出せない、
兄弟のことが大好きなおそ松にこんな相談していいのかと悩み

二人とも何故か目を逸らして何も言えなかった

少しの間重苦しい空気が続き やっとおそ松が
「…………カラ松の浮気のことでしょ?」
と口から零した

ああなんだ知ってたんだという安心感と
緊張がほぐれて
わたしの中での沢山の感情が溢れた

気づいたら目から大粒の涙がぽつりぽつりと出ていた

「大丈夫!?Aちゃん〜、、」
彼の心配そうな顔を放って、私の涙は止まることなく溢れ出た

「…落ち着くまで待つから、
今は思いっきり泣いていいよ」
そう呟き、私の涙を手で優しく拭った

いっつも馬鹿みたいなことしかしてないのに
こんな優しいんだこの人 好感度がかなり上がった

「…そんな泣くくらいなら俺に……」

「…ふぇ…う、っ…なに、……?」

「いや、なんもねーよ。」


だいぶ泣き止んだ頃におそ松が
「んで、何を見たの?」


続く

くるしいおはなし 2話→←夢見心地(プロローグ)



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作者名:sae | 作成日時:2019年7月31日 1時

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