仲直り、しようか (ページ11)

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きっと、彼は

気を遣われることが多かったのかもしれない

本当の意味で、お互いに気を許せる相手が

いなかったのかもしれない

だって、人気者で

彼から好かれたい人なんていっぱいいるもん

彼に対して本音をぶつけられる人なんているのかな…

私もその一人だった

いつか彼が急に

離れていってしまうんじゃないか

いつも頭にはそのことばかり

彼の一番の理解者でいなければならなかったのは

彼女の私だったはずなのに。

守っていたのは、彼ではなく

自分だった

「…怖かったの、自分の本当の気持ち言って

景瑚に嫌われたらどうしようって、

ずっと思ってた」

勝手に涙が出てくる

なんて最悪なタイミングだ、

これじゃ景瑚が悪者みたいになっちゃう

景「俺そんな人に見える？」

「…ごめん、ちが」

景「わがまま言い合って喧嘩しても、

相手に気持ち伝えて、もっと相手のこと知るのが、

付き合ってるってことなんじゃないのかな」

「うん…」

景「俺だって怒るし、泣くし

でも、それをもっとAとしていきたいの

Aには、俺の前では素であってほしいの

…俺も、素でいたいからこうやって言ってる」

「…私も、もっと景瑚に知ってほしい、…私のこと

だから、もう我慢したりしないから、…

ありがとう、ちゃんと言ってくれて」

そう言って

彼の目をもう一度見ると、

今度は安心したような顔をしていた

景「…おいで？」

両手を広げる彼の胸に抱き寄せられる

景「俺ちゃんと好きだよ、Aのこと」

だから、もっと色々、我慢しないで言って

その言葉で、

私の中の全ての不安が消えた気がした

「…寒かったもん、本当は。…待ってる時」

景「ごめんね？…ふふ、」

「なんで笑ってるの？」

景「いや、…怒ってるA、可愛いなって」

顔を上げると、

わざと口をへの字に曲げて、首を傾げる景瑚と目が合う

そのまま、2人で笑った

「今日は、ハンバーグ食べたい」

景「ん！決まり！お腹すいたー」

景瑚、…本音をちゃんと伝えてくれてありがとう

いつも私を大切にしてくれる彼を

私ももっと信じてあげよう

自然と手を繋がれ、

私たちは再び歩き出した

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