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「もしこの残り少ない羽に私のわたあめをくっつけたらどうなるんですか〜？」
ある日、私は上空を飛びながら彼にそう話しかけた。
小さくなった翼で体をぐらつかせながら飛ぶ彼の姿は、なんとも滑稽で面白かった。
「ん？あぁ……さすがに動きづらくなるだろうなぁ」
もし、もし彼が命の危険にさらされたらどういう表情をするんだろうか。
昔私に嫌がらせをしてきた女の子は、私が仕返しをしたらただただ泣き続けた。
面白くなかった。
昔私の事が好きで付きまとってきていた男子の裏をバラしたら、彼は学校に来なくなった。
面白くなかった。
そんな人生の連続だった。
「使ってみても？」
だから私は面白いものを求めた。
鷹見くんが今、少しテンパったらどうなるんだろう。この高い上空で、飛べなくなったらどうなるんだろう。
だから私はわざと彼をわたあめで羽を動けなくして、落とした。
彼は絶望した顔をしていた。いつかの女の子と同じような顔をしていたけれど、その子よりちょっとだけ面白かった。
でも羽が重かったのか、私の想像以上に早く落ちていった。
安全紐のように、あらかじめ彼にまきつけていた糸では速度を十分に落とせない。
(やば)
全力を尽くして彼を受け止めた。
ここで彼になにかあったら私のせいになる。それが怖かった。
「あっ……ぶな」
この時、素の私が初めて彼の前に出た。少し低い、掠れた声。
いつも作っている可愛らしい声とはまるで真逆の声。
「調子に乗りすぎた。なんと言ったらいいか……本当にごめんなさい」
本心で謝ったのはいつぶりだっただろうか。私があと少しでも個性の扱いが下手だったら、彼は大怪我を……いや、最悪死んでいたかもしれない。
恐る恐る彼の顔色を伺った。
(──えっ)
「……俺も悪かった、し、ちょっと……降ろしてくれない……かな」
紅潮する頬に潜める眉。嫌そうな、プライドが傷ついたような苦い表情と、私に抱えられている羞恥心。色んな感情が入り交じった、彼の顔。
「す、すみません」
そう言ってわたあめを地面まで操って、地面に彼を下ろした。
「あんまり上空に行くと危険だったね、これからは控えるよ」
そうおちゃらけて笑う彼は、さっきまでとは違うような笑い方に見えた。
才能があって、努力してて、人と関わるのが好きなように見えて、へらへらしてて。
でも実はプライドが高くて、意地っ張りで、そこまで人と関わるのが好きじゃなくて、強がり。
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桜芽杏(プロフ) - えだまめさん» ひぇ〜嬉しい……！！ありがとうございます！！実はガチの趣味で書いていた物をその場のノリで載せ始めたので、こうして好きと思われて読んでくださることにとても喜びを感じます……！クライマックスも近いですが、どうぞ最後までお付き合い下さい！！ (2020年4月18日 18時) (
レス) id: 4e2ed4ed51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 好き…………好きです…………ちょっと不器用なホークスも可愛いのにカッコイイ夢主も雰囲気が独特なお兄さんもそれぞれを表現している桜芽杏さんの透明感のある文章も全て好きです応援しています…… (2020年4月17日 21時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
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