じゅうはち〜 ページ18
「歯磨きは明日でいいですかね。とりあえず今日は寝てください」
こっちです、と手を引いているとホークスはそういえばと口を開く。
「あ……トレーナー、背中穴開けてるよね、わざわざごめん」
「サイズ間違って大きすぎたので使わないんですよ〜、気にしないでくださいね〜」
ここです、と部屋を開ける。
「それではお休みなさい、私もシャワー浴びてきますから」
「うん……ありがとう……」
その後ベッドに倒れ込むホークスの姿を見た後、Aは部屋の電気を消して部屋の外へ出た。
食器を洗い、シャワーを浴びて着替え諸々の寝る準備を終わらしてソファで寝ようとしたが、さすがに羽毛がないと寒い事が発覚した。
恐る恐る部屋に入り、もう寝ているであろうホークスの横を通り、予備の羽毛を探す。
ゴソゴソとしている間にホークスは少し動いた。起こしたかな？と思って耳を傾けてみたが、起きてはいないようだった。
が、羽毛を取って外に出ようとした時、
「……な……」
かすかに声が聞こえた。
「……起きましたか？」
無声音でそう声をかけるが返事はない。
「ごめ……さ……」
(誰かに謝っている……？)
昔の嫌な夢でも見ているのだろうか。疲れているし仕方が無いといえばそうであったが、可愛そうにも思えた。
(休める日くらい、夢でもいい夢を見させてあげてもいいのに──それでも親のすることですか)
そう思い、Aはホークスの手に自分の手を絡めた。
「……め、なさい」
「大丈夫ですよ。謝らなくてもいい」
微かな声が聞こえる度に、Aは無声音で言葉を返し続けた。
うなされた時、どうして欲しかったか。悪夢を見ている時、どうして欲しかったか。
──自分のして欲しかったことはなんだったか。
少しすると声は聞こえなくなり、スヤスヤとした寝息へと変わっていた。
(大丈夫そうかな)
彼には帰る家がない。
その話を聞いてから、Aは薄々ホークスの家庭事情が普通でないことを察していた。
それでも踏み込まなかった。踏み込む勇気がなかったのだ。
(そう、皆、普通に産まれてくる人が当たり前ではない。普通の家庭に産まれて普通に暮らしている人は、それがどれほど幸せかを知らない。
でもごめんね、私もよく知っているから……普通じゃないからこそ、君に踏み込むことが出来ない)
急遽、あまり使ったことの無いアロマを焚いてその部屋から出る。
大きな欠伸をしてからソファに寝転ぶと、Aもすぐに眠りに落ちた。
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桜芽杏(プロフ) - えだまめさん» ひぇ〜嬉しい……！！ありがとうございます！！実はガチの趣味で書いていた物をその場のノリで載せ始めたので、こうして好きと思われて読んでくださることにとても喜びを感じます……！クライマックスも近いですが、どうぞ最後までお付き合い下さい！！ (2020年4月18日 18時) (
レス) id: 4e2ed4ed51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 好き…………好きです…………ちょっと不器用なホークスも可愛いのにカッコイイ夢主も雰囲気が独特なお兄さんもそれぞれを表現している桜芽杏さんの透明感のある文章も全て好きです応援しています…… (2020年4月17日 21時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
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