九牛の一毛 ページ9
ぴくり、と肩を揺らしながら少女は、Aはマイクの方へと顔だけを向けた。
「……なに？」
か細い声で応答するAに、その場にいた大人三人は驚かされた。特に孤児院の女性は口までがぽかんと開いて、ただ「うそ……」という言葉だけが口から漏れだした。
「これからは一緒に住むぞー、よろしくな、A！」
元気よく笑いながら、マイクはAの頭をわしゃわしゃと荒っぽく撫でると、Aはゆっくりと頷いた。
それから次の日、仕事を一通り終えていたマイクは、家でAを迎え入れる準備をしていた。
太陽が沈み始めた頃、室内にインターホンが響き渡る。「お、来たか！」とウキウキで玄関まで足を運び、勢いよく飛び出した。
「へいよぉーGUYS！！ 昨日ぶりだ……な……？」
そこには昨日も会っていた女性と、小学一年生ほどにも見えなくもないAがペコリとお辞儀をした状態で立っていた。
「おせわになります。よろしくお願いします」
あんぐりと口を開けているマイクに、女性はひっそりと耳打ちをした。
「昨日マイクさんが帰ってから、この子ずっと本を読んでは眠っての繰り返しでして……少し目を離している隙に、また成長していたようです」
そのことばを聞いて、マイクは少し期待をしてしまった。
もし自分とコミュニケーションをとるために、もしくは社会になじめるような努力をしていたとすれば、人に対しての嫌悪感はないことになる。
「おう、A、またでかくなったな！！」
頭をうりうり撫でると、表情を変えないまま、しかしどことなく満足そうな声色で「たくさん本を読んだの」と言った。
「わたしね、家族についてしらべたの。だからたくさんお話できるよ」
ぎこちなく笑うAに、マイクは「そっか」と微笑んだ。
「さぁああてレディース！！ ここまでAを連れてきてくれてサンキューな！！ あとは俺に任せてくれ！！」
いつものハイテンションのノリで女性に親指を立てると、彼女は苦笑しながらも感謝の意を述べた。
マイクの家の中は基本黒で統一されており、所々蛍光の黄色や赤色、白色が混ざっているような騒がしい部屋だった。
「あそこの部屋と全然ちがうね」
あそこ、というのは孤児院の部屋のことだろう。確かにあの建物の部屋はどこも白を基調とされているような、簡素な部屋だった記憶がある。
「そうだろ！ これからはお前もここに住むんだから、欲しいものがあれば言ってくれよな！！」
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紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
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