一天四海 ページ14
数日後、小学校低学年向けの通信教材が送られてきた。マイクは自分といたい、と言ってくれたAの意見を尊重して、通信教材で教育を受けることに決めたのだ。
孤児院の女性に連絡すると、ほっとしたような声で「了解しました、後はこちらでお任せ下さい」と言っていた。
数日後、マイクは近くでヴィランが暴れていると連絡が届いた。
「悪いA、仕事に行ってくる」
Aの隣で一緒に勉強していたマイクは、飛び出すようにその場から離れ姿を消した。「気をつけてね」と言葉をかけた後、一人になった大きな家の中で手を動かし続けた。
これが初めてではない。今までに何度か外へヒーロー活動を行うために家を飛び出る所を見ていた。
その度に少し怪我をして帰ってくるマイクを見ていたからか、Aはいつもマイクが外へとび出ていく時、不安そうな顔をするのだ。
あれから三時間。もう夜の十時を過ぎようとしていた。空腹感はなく、ただひたすら教材に文字を埋めるために動かしていた手を止めた。
「遅い……」
何かあったのだろうか。何があったのだろうか。
捨てられたのだろうか。
そんな不安感だけが増していく。ペンが紙をこする音がなくなった瞬間に響き出す時計の針の音は、規則的なはずなのに何故かどんどんと早くリズムを刻んでいっているような気がする。
「パパ……！！」
椅子から立ちあがり、外へ出るために玄関へと向かう。
『いいか、俺がいない時は一人で外に出るんじゃあないぞ？』
ドアノブに手をかけた瞬間、優しく頭を撫でられながらかけられた言葉を思い出した。
「どうすれば、いいんだろう……」
きゅっと唇を噛み締めると、目前にあったドアが勢いよく開いた。
「パパ！？」
「A、起きてるか！？」
Aの声と重なったのは、焦った様子のイレイザーだった。
「イレイザー……？ なんで？」
「どうしてここに……いや、今はそれどころじゃないな」
イレイザーは困惑するAの前でかがみ、視線を合わせた。
「マイクが大怪我したんだ。幸いにも命に別状はないが、しばらく帰って来れない」
大怪我。命。帰って来れない。
「どうして……」
「え？」
「どうして会えないの……？ パパと会えないの……？」
震えた声でイレイザーの服を掴む。
「会えなくはないが、今からじゃあ時間がかかりすぎる。道路が込み合ってるんだ」と声をかけると、Aは左目の瞳孔しかない目をイレイザーに向けた。
「会えるよ、私なら」
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紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
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