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10年?まあそのぐらい前のこと。

当時まだ幼かった私は、自分の家が実は凄い家だってことを知らなかった。
庭は野球場が何個もできちゃいそうなくらいあるし、部屋も沢山あるし、お手伝いさんだっている。
でも生まれた時からここに住んでいるから当たり前だった。

そんなすごい家に産まれちゃった私は、とんでもない出来事に巻き込まれた。

ある日、幼稚舎からリムジンで帰ってくるとなにやら家がヘンだった。

黒い煙に赤い炎。
それもあっちこっちから出ている。

お付きの運転手がそれを見て、「お嬢様、こちらへ」とまたリムジンへ私を乗せた。
そのまましばらく辺りを走って着いたのはまた家だった。

今度は何も出ていなかったけど、家は所々黒くなっていた。

「お嬢様、お屋敷に大きな被害はなかったようでございます。少しお家が黒くなっただけでございます」

運転手は、誰かから聞いたのか被害状況を私に教えてくれた。

『もう おうち には はいれるの?』

そう聞くと、はい、もちろん と声が返ってきた。
ゆっくりと扉を開き、真っ暗な家へ入る。

『おとーさま?おかーさま?ただいま もどりました…』

暗い玄関ホールに声が響く。
しかし返事は聞こえない。

『…?…おとーさま?おかーさま…?』

だんだんと不安になる。
いないの…?

「…お嬢様、申し訳ありません」

運転手がゆっくりと言葉を発し始めた。

「…旦那様と奥様は…お亡くなりになられました」

そう言うと、運転手は一筋涙を零した。

『お、なくなり…?もう、あえないの…?』

「…はい。左様でございます…。間に合いませんでした」

深々と頭を下げた運転手は声を震わせた。

「お嬢様、強く…強く生きて、下さい」



私が小学校に上がる少し前、6歳の頃の出来事だった。

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あちゃ - 楽しく拝見してます!リクエストみたいになるんですが、主人公ちゃんが捕まっておくすり(ヤバいやつ)打たれてくすり漬けにされ4人が助けに来てお薬抜けるまでそれぞれが苦しい思いをしながら日々を過ごす的なのを見てみたいです!これからも楽しみに待ってます! (2021年2月15日 0時) (レス) id: dabe64fc32 (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ@Twitterやってます(プロフ) - こういうマフィア系でTOP4のお話あまりないので、ついつい見入っちゃいました!!とても面白いです!更新頑張って下さい! (2020年3月15日 13時) (レス) id: cdd2774812 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠奈** | 作成日時:2018年9月10日 1時

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