【妖怪ウォッチ】月と星と太陽２ (ページ5)

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55☆証拠を集めてページ5

「Aー。あんたに電話ーっ！」

大きな声で母親に呼ばれ、
Aは掃除の手を止めた。

ほうきを置いて、
１階へと続く階段を駆け下りる。

電話を終えたAは自分の部屋に戻った。

電話で所長が言ったように、
カバンにトレーサーとメモ帳、筆記用具を入れる。

Aは机の上に置かれた妖怪ウォッチを見ると、
迷わずにそれもカバンに入れて、

靴をつっかけて外へ飛び出した。

所長の電話は、

「まだまだ証拠が足りない。

ボクはこの前現場で検出できた成分の分析を進めるから、若園は事件現場に行って証拠を集めてほしい」

という内容だった。

そんなわけでAは、
現場であるショッピングセンターにやってきた。

大きな建物の裏側へまわると、
目の前に広がるのは広い駐車場。

通りすぎる買い物客に会釈しながら進んでいくと、
店長がカートの整頓をしていた。

「店長さん」

Aは救われたように小走りで駆け寄る。

「やあ、Aさん。
また調査ですか？」

「はい。もっと証拠……
じゃなくって、詳しく調べようと思って」

まだあの弁護士が犯人だと決まった訳ではないのに「証拠」というのは気が引けて、Aは適当にはぐらかした。

「なるほど」

「店長、本木一朗さんは、
お店のどこで消えたんですか？」

とAはメモ帳をカバンから取り出す。

「最後に見たお客さんによると、
駐車場らしいです」

「一朗さんは、車でお店に来たんですか？」

話を聞きながらAは、
几帳面な字でメモをとっていった。

「ええ、降りた車の窓に、
吸い込まれるように消えたと……」

「窓に……吸い込まれる？」

突然の非科学的な言葉に、
Aは怪訝な顔になる。

「い、いや……お客さんたちのうわさ話ですよ。
窓に吸い込まれるなんて、そんなことありえません」

「だ、だけど見た人がいるんですよね？」

思わぬ展開にAは必死で耳を傾けた。

「ま、まぁ……小さな子どもですから。
何かの見間違いでしょう。

警察も参考にはしてませんし。

それじゃ、私はこれで。
バーゲンの準備があるので」

店長にお礼を言い、駐車場を出たところで
Aはふと歩みを止める。

「窓に吸い込まれた……。
伸也さんの方は、どうだったんだろう……？」