【妖怪ウォッチ】月と星と太陽２ (ページ34)

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84☆どうかしてるページ34

「な、なるほど!!」

「ちょっと、適当に歩き回ってみようぜ」

アキノリの提案に、Aはこくっとうなずいた。

「うん……」

Aがまっすぐ歩くと、音はより大きくなる。

「あっちに悪いやつがいるみてーだな！」

「放水路の暗がりか……」

Aはゴクリと唾を飲んだ。
以前、UMAの目撃情報があって調査した所だ。

「行ってやっつけよーぜ!!」

アキノリは駆け出し、Aも慌ててあとを追った。

そして２人は、放水路の暗がりにやってきた。

相変わらず薄暗くて不気味な場所で、ピチョンピチョンと雫の落ちる音だけが規則的に響いている。

２人が奥へ進んでいくと、
そこに１人の怪しい青年が立っていた。

「あいつか!?妖怪ウォッチを持ってるぜ！」

「う、うわ……」

青年はアキノリに指さされると、
おびえたような顔をして後ずさる。

グレーのシャツに黒いズボンを履き、黒縁の眼鏡をかけた青年。背は高く痩せていて、ひょろひょろに見えた。

「妖怪ウォッチを渡して！
それは人を傷つけるものじゃない！」

「い、いやだ……」

青年が妖怪ウォッチを後ろ手に一歩下がると、
アキノリが叫ぶ。

「いやじゃねーだろ！
妖怪に悪い真似させやがって！」

「そ、そりゃいけないことだとは思うけど……。
や、やめられないんだ。

妖怪たちが暴れまくるのを見ると、スカーッとするんだよ。やなこと全部を忘れられる。

き、気持ちがいいんだよ……ハッピーそうなやつらが、
ひどい目にあうのは。

さ、最初は、ガミガミとうるさい親を懲らしめようと思ってたんだよ。だけどさすがにそれはやめたんだ。

なんだかんだ言っても親だし。
だ、だからオレはまだマシだと思わねぇ？」

震えた声で、ビクビクしながら長い言い訳をする青年。

アキノリは青年の話を聞き終わると、
強く拳を握って顔をしかめた。

「こ、こいつ……どうかしてるぜ……」

「どうしても妖怪ウォッチを手放さないのなら！」

Aは自分の妖怪ウォッチを、
青年の目の前に突きつける。

「そ、それはオレのと同じ……」

「私がこの力で止める！」

そのとき、

「クカカカカカ！」

「な、なんだ、こいつ!?」

宙にぽっかりと穴が開き、
そこから奇妙な笑い声とともにそいつは姿を現した。

「バグだ！」