83☆近づいてる ページ33
「日美子さんから、お２人がここにいると聞いて来たんです！それよりも事件です！
おうぎ公園で、UMAと仮面の幽霊が
同時に出ました！」
「なんだって!?よし、現場へ行こう!!」
所長はすばやくカレーをかき込む。
Aも緑茶を飲み干した。
「はい！」
３人がドタバタと天野家を出て行くと、
アキノリもカレーを食べきり、天野家を出る。
「へへ、おもしろそーだから、
オレもついていこうっと!!」
そして一行は、おうぎ公園にやってきた。
「ここで事件が起きたのか」
「き、君は？」
まぶしい日差しに目を細めるアキノリに、
初対面の須賀が問う。
「オレは有星アキノリ！
Aの仲間さ！」
「気にせんでください。助手の友だちです」
所長があっさりとスルーするが、
アキノリはそれを気にもせずにこう言った。
「手伝いに来たんだ！よろしく！」
「ところで、どのようなUMAが現れたのです？」
と所長はにべもない。
Aはアキノリを少し可哀想に思いながら、
須賀に訊ねた。
「あと、仮面の幽霊も……」
「はい。
あり得ないぐらい大きい蜘蛛と、
黄色い目をした仮面の幽霊です」
話を聞いていたアキノリは、
ふむふむと考察を始めている。
「土蜘蛛か女郎蜘蛛……？
仮面の幽霊ってなんだ……？」
そのとき突然、妖怪ウォッチから音が鳴り出した。
「ま、また……!?」
Aは、裏のボタンを４回押す。
しかし音は止まらない。
「ご、ごめんなさい！私、ちょっと……!!」
Aはその場から逃げ出した。
「Aさん!?」
「おい、ちょっと待てよ!!」
Aは公園を出て、
住宅街の路地まで走ってきた。
それでも音は止まらない。
「ど、どういうこと……？
音が大きくなってる」
焦るAの後ろから、アキノリが声をかけた。
「どうしたんだよ！」
アキノリは走ってAを追いかけてきたらしい。
「妖怪ウォッチの新しい機能が止まらなくって」
「どんな機能なんだ？」
興味深そうに訊ねたアキノリに、
Aは妖怪ウォッチを見せて説明した。
「もう１つの妖怪ウォッチに反応するらしいの。
裏のボタンを４回押すと止まるはずなんだけど、
音は大きくなるばかりで……」
「そりゃ、要するに……、
もう片っぽの妖怪ウォッチに
近づいてるってことじゃないか？」
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作者名：惠里子 | 作成日時：2019年7月30日 19時
