【妖怪ウォッチ】月と星と太陽２ (ページ30)

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80☆「誰か」を宛にページ30

「LUNAを信用してないわけじゃないけど……正直、今まで事件を解決してきた『誰か』を宛にしたくて……」

「ひ、ひどい！
ボクたちは宛にされてないのか!?」

須賀の言葉に所長は涙目になる。
須賀はすまなそうにうつむいた。

「は、はっきり言うと……そうなってしまいますね」

「う、うぅぅぅ……」

泣き出す所長にAがポケットティッシュを差し出したとき、突然、妖怪ウォッチから音が鳴りだした。

「わ、わっ!!」

「お、オモチャの音!?」

所長の涙はヒュッと引っ込んだらしい。

「えっと……裏のボタンを４回押すっと……」

音が止まった……。

「やっぱり……この事件も
ハデスの妖怪ウォッチが原因か……」

「よう、Aにオッサンじゃないか！」

神妙な顔をするAの後ろから話しかけたのは、
アキノリだった。

「アキノリ……」

「君は確か……」

あごに手を当てる所長に、
Aはアキノリを紹介する。

「友だちのアキノリです。

天野フミカさんの
娘さんと息子さんの友だちでもあって……」

「ああ、一度会ってたな」

所長は以前、弁護士の事務所に
最後に乗り込んだときのことを思い出してそう言った。

「なぁなぁ……」

アキノリはAの手首をつかんで引っ張り寄せる。

「もしかして、また事件か？」

「うん。それも妖怪が絡んでるっぽい」

２人は手で口元を隠してコソコソと話し合った。

所長はトレーサーを使って駅の調査を始め、
須賀は周囲の人に聞き込みをしている。

２人が離れたことを確認すると、
アキノリは普通の音量で話し出した。

「マジかよ!?どんな事件なんだ？」

「な、なんかコウモリとかトイ・プードルの
バケモノが出て、人やビルを襲ってるって」

Aが大まかに説明すると、
アキノリは腕を組んで考え込む。

「コウモリにトイ・プードル……。

そりゃ、ヒキコウモリかトジコウモリ、
じんめん犬かイケメン犬かもな」

「え？」

ポンポン出てくる妖怪の名前についていけず、
Aがポカンとしているとアキノリは言った。

「妖怪ウォッチは、
アークさえあればどんな妖怪でも呼び出せる。

あのカリフラワーみたいな悪いオッサンからアークをもらって、それを使ったのかも知れねーな」