【妖怪ウォッチ】月と星と太陽２ (ページ29)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:13,891 hit

79☆トイ・プードルページ29

次の週のこと。

「さーて、今日はさくら駅の調査だね。
早く行かないと、また所長に半人前って言われちゃう」

Aは先週の調査で、妖怪ウォッチの音をオモチャのそれだと誤魔化したときに、所長に呆れられてしまったことを思い出していた。

半人前か……今までの現象を解決してきたのは、
私なんだけどな……。

と若干心の中で毒づきながらAはLUNAに行き、
所長と須賀と共にさくら駅にやってきた。

幸いなことに、夏休み中にも関わらず人通りは少なく、
調査がしやすい状況だった。

３人は日陰に入って話し合う。

「ここでもUMAが目撃されたらしいですな」

「はい。証言によると、
トイ・プードルのような姿をしたバケモノです」

須賀がそう言うと、Aは首を傾げた。

「それって、
トイ・プードルそのものじゃないんですか？」

「いいえ。そいつは、
顔は人間で、２本の足で歩いていたそうです」

Aは想像してみる。
確かにバケモノだと思った。

「うーむ……２本足の犬か。
まさしくUMAではないか」

「まずはどうしますか？」

須賀がハンカチで汗を拭きながら言うと、
所長はニヤリと口角を上げる。

「ふふふ……UMAといっても所詮は生き物。
ならばおびき出すのが一番手っ取り早い」

「おびき出し作戦ですか！
しかしどうやって？」

所長は腕を組んでしばらく考えたあと、
右手の人差し指を立てた。

「生き物を引っ張り出すには、
エサかメス、あるいはオスを用意すればいいのです」

「……はぁ」

須賀はポカンとしている。
半ば呆れているようにも見えた。

「ドッグフードを買ってくるか、
ペットショップから犬を借りてくるか……。

どちらにしましょうか？」

「いや、そんなことしても……」

須賀が言いかけ、
Aは小さく手を挙げる。

「それなら、スーパーとかペットショップに
バケモノが現れるはずでは？」

「え……？

あ、そ、それもそうか……鋭い指摘だ」

所長は固まったあとで２人から目をそらした。
須賀は小さくため息をつく。

「まったく……」

そして須賀は、
またまた辺りをキョロキョロと見渡した。

「須賀さん、またどうしたんです？」

「い、いや……。

『横取り』する人が来てないかなって」

須賀は言いにくそうに頭を掻く。

「『横取り』？」