53☆３人に何を ページ3
「どこにいる!!どこにいるんだ!?」
「どこ……!?」
２人が階段を上がり、２階の廊下を早歩きしていると、
目の前のドアがゆっくりと開いた。
「騒がしい……一体誰だというのです？」
中から出てきたのは、スーツ姿の男性だった。
見た感じの年齢は30代くらい。
髪の毛はピシッと整え、四角いフレームが金属でできたメガネをかけている。
手首には高そうなゴツい腕時計もつけていた。
「むむ……あなたが山田弘さん？」
所長は立ち止まり、その男性に向かって言う。
「確かに、ワタクシは弁護士の山田ですが。
テレビでは『先生』とも呼ばれています……」
ご丁寧に名刺まで差しだそうとした先生を止めるように、所長はドアを大きく開けて部屋の中へズカズカと入り込んだ。
「つ・ま・り……あなたが
『隠し神』ということですな……！」
「はぁ？隠し神!?
君たちは、一体何者です？」
怪訝な顔をする先生に所長はこう答える。
「ボクはオカルトバスター、望月博人！
そしてこっちは助手の若園A！」
「……話が見えてきませんなぁ。
なんなのですか？」
と答えながら名刺入れを胸ポケットにしまった先生を見て、所長は身を乗り出した。
「ふふふ……その余裕もここまでだ。
お前のせいで、何人も消えたのだぞ！」
すると先生は、「ギクッ」というように、
一瞬だけ肩を震わせた。
「い、イヤだなぁ……
さっぱり意味が分かりません」
先生が所長の顔から目をそらすのを見て、
今度はAが口を開く。
「あなたは……」
「ん……？なんで子どもが……？」
「あなたは、三田伸也、本木一朗、白川茉莉……これら３人に関係した事件に関わっていますね!?」
「…………」
先生がAをじっと見つめて黙り込むと、
Aは急かすように言った。
「どうなんです!?」
「ああ。
三田伸也くんが目撃した窃盗事件……
本木一朗くんが被害に遭ったスリ事件……
そして白川茉莉が疑われている詐欺事件……
ワタクシは、確かに
そのいずれもの刑事事件を弁護している」
余裕そうな表情でそう言ってのけた先生に、
Aはさらに尋ねる。
「３人とも裁判を前に全員が消えた！
そしてそのことで、あなたは得をしている……。
あなたは３人に何をしたんですか!?」
真剣に問いつめるAを見て、
先生はあきれたように背中を向けた。
「やれやれ……
かわいい刑事さんだことで……」
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作者名：惠里子 | 作成日時：2019年7月30日 19時
