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「 つまんねー」
フロイドの大きな独り言が部屋に木霊する。
「 もう俺だいぶ長いこと見守ってあげててちょー優しいし?謝礼金じゃなくてもいいからさあ、ご褒美ぐらい貰っても良くね?」
言葉を投げる先は、先に布団に潜り込んで静かな寝息を立てるジェイドへ。
フロイドは今起きている状況に誰よりも憤慨しているのだ。思いを寄せていつまでもウダウダしているタコの幼馴染に対して。
ガリリと親指の爪を噛んだ。イライラする。
ーーー 今更になってエビみたく後ろに後ろに逃げようとしちゃってさあ……
「 あ、そーだ。いいこと思いついた」
「 あまり二人の間に介入するのは自分の首を締めるだけですよ、フロイド」
「 なーんだ、ジェイド。やっぱり起きてたんじゃん……寝たフリ?」
初めから寝ていないことなどわかっていた上で声をかけたのだから返事が来るのは当たり前。
ーーー 意気地無しのアズールに苛立つのは勝手な話ですが、遊び半分で深入りして返り討ちに合わなければいいんですけどね。
***
モストロラウンジ、開店前。
「 そろそろ新メニューとか出さねぇのかなあアズールのやつ」
自室の机に寄りかかり、配布されたシフト表に目を移す。一時的に鰐の姿に戻れたが、魔力が底を尽きたのか何度戻ろうとしても何も起こらない。
ふと、先日の光景が頭に過ぎる。
薬を飲まされた時には感じなかった熱いボワボワとした感覚を。不思議なものだ、たかが唇を重ね合わせただけなのに。
「 魔力が通うから、そう感じるだけか?」
嫌な感覚ではない、寧ろ心地良い。だけれども、意味もなく分け与えて貰おうなどという気持ちは一ミリもない。
「 ナマズちゃーん、入るよー?」
えらく上機嫌なフロイドの声で我に返る。ああそうだ、そろそろ準備を手伝わないと厨房に入れて貰えなくなってしまう。
「 えー……ナマズちゃん。開店時間近いのにまだ着替えてもいねえじゃん」
「 俺ホール行かないからジャケット着なくてもよくねえか?」
「 したいようにすればいいんじゃね? ……て、ちげーや。俺さ、聞きたいことがあって来たんだよね」
距離を詰めて彼女を自分と机の間に挟み込んだ。
此方を見上げる黄色の瞳は相変わらずの無反応で、「 なんだ?」と小首を傾げる。
「 魔力が無いんだったら、俺の分けてあげよっか?」
「 …………は?」
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愛(プロフ) - 蒼井とーるさん» はじめまして、コメントありがとうございます!夢主イラスト可愛いと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)ゆっくりではありますが更新頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月1日 18時) (レス) id: 1c0863e534 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 夢主イラスト、とてもかわよくて推せます!性格も最高に面白くて大好きです!頑張ってください! (2021年12月1日 4時) (レス) @page5 id: f4c569577f (このIDを非表示/違反報告)
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