ヒーロー発見*４ ページ5
いっけなーい遅刻遅刻！ でぶつかったお兄さんだ！
「ほら、いつぞやのヒロインポジです！」
「ひろいんぽじ……？」
「パンをくれたじゃないですか。たまたま曲がり角でぶつかっちゃって、俺が咥えてたパンを落として」
「曲がり角……パン……」
しばらく悩んだように顎に手を当てていたお兄さんが、不意にハッと目を見開いた。
「もしかして、君はあのときの」
と言った瞬間。
お兄さんは顔をぼふんっとタコのように赤らめた。
「聞いてくれ！ 信じてもらえるとは思わないが、あれは下心とかそういうものはまるでなく！ 不慮の事故というか、そういう部類の話でっ、」
「………なんの話です？？」
「しかし助けるためとはいえ、見ず知らずの君を抱きしめるなんて言語道断！ そうだ、どうか 一思いに殴ってくれ！｣
「なぐ？！ しませんよそんなこと！｣
お兄さんは納得いかない、といわんばかりの顔をしていたが「そうか……」と渋々うなづいた。なんでだ。納得せい。
釈然としない俺に、お兄さんは顔を手で仰ぎながら言った。
「つかぬことを聞くが、君はどうしてここにいるんだ？ たしか、女の子はプロデューサーの一人しかいなかったはずだが……」
「あ？？？」
「やっぱり殴るのか？！ そうだよな、嫁入り前の体に触るなんて、」
「ちょ、違うから歯を食いしばるな！ そうじゃなくて……ああもうっ、原点から違うんですよ！！」
まぁ出会いが出会いなだけに仕方ないかもしれないけど。
あのですね、と俺が口を開いた刹那。
「ちあき。そのこは『おとこのこ』ですよ」
「ひぇっ！」
後ろから、がばり、と抱きつかれる。
背中から感じるのは、海月のような柔らかい声音と、ひんやりとした人肌と──水が自分の制服に染み込む冷たさ。
「つんめっっった！！？ その声は深海先輩ですよね！？ あんた、まぁた性懲りもなく噴水に入ってましたね！！」
やめてください！と抗議すると、先輩は「Aは『てれやさん』ですね〜」と離れてくれた。解せぬ。
「とっても『かわいい』ですけど、『あいどるか』のいちねんせいですよ。ちあきったら、ごかいしちゃったんですね」
「そうです。かわいいは余計ですケド」
お兄さんは話についてこれていないのかぽかんとしてる。しかたない。軽く自己紹介しておくか。
｢アイドル科一年B組、城崎Aです。ユニットは無所属、部活はテニス！ よろしくお願いします｣
「あ、ああ、よろしく……って、んん？ えっと、すまん、話の整理をさせてくれ。あのときの女の子がきみで、今ここにいるきみは男の子で……？ ｣
「落ち着いて。あのときの俺も今ここにいる俺も男です」
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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！素敵なお話をありがとうございました！もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー！！ (4月7日 0時) (
レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです！ (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです！是非！お願いします！ (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです！すごく楽しく読ませてもらいました！ (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです！受験勉強後回しにして(？)2日で読み終わりました！ぜひ！続編読ませて欲しいです！ (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)
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