道化師の憤懣*２(渉side) ページ29
「これ日々樹くん、あまり怖がらせるでない。話ができなくなってしまうじゃろう」
「なるほどなるほど零にはこの完っっっ璧なスマイルが見えていないと。仕方ありませんねぇ、さあさあ特等席でご覧あれ！」
「近い近い近い！」
小言を垂れながら、零が片手で私たちの間に壁を作った。すぐ目の前に彼の手のひらが……あっ生命線短い。(自称)吸血鬼なのに短い！ 肩まであると思ってました！
ツーとなぞると「こしょばい！」と後ろ手に隠された。つれない人だこと。
「お主ら、よくもまあここまでやってくれたものじゃな」
先程の空気はどこへやら。
かくり、とからくり人形のような仕草で首を傾けて嗤う零の瞳から、おもに情けや容赦に繋がる一部の感情がストンと抜け落ちていくのが見えた。
「ち、違うんだ！俺たちは頼まれただけなんだ！なあ？！」
「そっそうだ！別に悪気があったわけじゃ……」
「ふむ。誰に頼まれたんじゃ？」
「それは、」
途端に言い淀む二人。どうやらこれ以上は話すつもりはないらしい。
「黙秘、か」
「いっぱついっときます？」
「深海くんストップ、ストップじゃ。お主の手刀、大抵の人間は一発でノックアウトじゃから」
「ぼくを『あまく』みてますね〜？ ちからかげんくらいできます。たまに『しっぱい』しちゃいますけど』
その「たまに」がマズイんです、とは言わないでおきましょう。面白いので。
「……まあよい、Aくんを困らせたくはないしのう。詳しいことはまた後日改めて聞くとしよう」
口調こそ穏やかだが、細められた瞳の奥には鋭い光が宿り、威圧感を放っていた。まるで、その眼光だけで人を殺せそうなほどに。
現に二人はすっかり怯えきってしまっているようだし。ああ、可哀想に…。ま、同情は一切しませんけど！
そんなことを考えていれば、零からAくんをそっと渡された。「違ういい匂いが！！2人目の変態？！」と言われた私に、一瞬だけ零がサムズアップ。変態仲間じゃな！って顔にデカデカと書いてある。
うわ〜〜〜すごく嬉しそう。
かと思えば、零は彼らを振り返り。人の心を冷え冷えとさせる嘲笑を浮かべ、猛毒のような殺気だった瞳を光らせた。
「金輪際Aくんに接触するでない。──その命、無駄にはしたくねぇだろ？」
それを瞬間、二人の顔色が一気に真っ青になった。
「二度はない。ゆめゆめ忘れるでないぞ」
最後に零が二人を一瞥する。
すると二人は首が取れるんじゃないかというほど激しく首を縦に振り、逃げるようにその場を後にした。
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yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです！これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます！！ (2020年1月11日 23時) (
レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです！！pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します！！これからも影ながら応援しております！頑張ってください！ (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです！続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……！ (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)
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