助言*2 ページ23
「そうか、それはうちのわんこが迷惑をかけたのう。飼い主である我輩の責任じゃ」
「いえいえ!わんこ先輩って零先輩の知り合いなんですよね?それなら、優しい人に決まってます!」
ここに来るまでの経緯を話すと、零先輩は少し怖いくらいの満面な笑みで、あとで躾をしておくわいと言った。そして、一瞬だけ不機嫌というより考えに沈んだ顔をして「思っていたより、早く行動したようじゃのう」と顎に手を当てる。
静かに囁かれたその声が聞き取れなくて問い返すと、零先輩は優しく微少して、
「おじいちゃんにも、チョコを一つくれんか?」
と口を開けた。
あーんで食べさせてあげると、「Aくんと食べると何倍も美味しく感じるのう」とにこやかに笑う。
どこか話をはぐらかされた気もするけど。零先輩に限って、俺に酷いことはしないだろう。
「して、Aくんはどうしてここに来たんじゃ?何か困りごとかのう?」
「あ〜、お菓子のお礼に来たんですけど……」
今日も今日とて、お菓子を恵んで貰っている。しかも、絶賛おかわり中。
少食な俺だけど、お菓子とかは別腹ってやつでバクバク食べられるし、甘い物は好きだから躊躇なく食べてしまっていた。
「くっくっく、構わんよ。Aくんに用意したお菓子なんじゃから、笑顔で食べて貰えるだけで我輩は満足じゃ♪」
「マジで大好き」
「我輩もAくんが大好きじゃよ〜♪」
二人で愛の告白(?)大会を行っていると、不意に零先輩が真面目な顔をして、俺の名前を呼んだ。
「純粋な光は、闇を消し去ることができる。しかし闇は光に侵されることを恐れ、その輝きを消そうと死に物狂いになるじゃろう」
どこか遠くを見つめ、ポツリポツリ呟く。
言っている内容は難しくて、俺には理解できそうもないけど。それでも話についていこうと、必死に思考回路をフル回転させた。
「Aくん、君は__その光の方じゃ。けっして闇に貪り喰われるでないぞ。あやつらは如何なる手段を使ってでも、自分たちを害する光を潰しに来る」
ゴクリ、と唾を飲み込む。
……なんとなく、分かった。いや、ぶっちゃけ光とか闇とかは分かんないけど。俺はどうやら危険な境遇に立たされているらしい。
「Aくんに何かあったらと思うと、我輩の寿命が縮んでしまうわい」
先程の怖い顔から一転して、いつもの優しい笑顔に戻る。
また少しお話しして俺は零先輩に、そろそろ良い子は帰る時間じゃと促され、渋々うなづいた。
前と同じように家まで送ってもらったけど、今日の零先輩はどこか殺気だっている気がしたのは、俺の勘違いだろうか。
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苺バニラ(プロフ) - あんみつさん» コメントを返すのが遅れてしまい申し訳ありません、わざわざ教えてくださいりありがとうございます。確認次第すぐに直しますね。誤字のご指摘、助かりました! (2020年5月2日 16時) (レス) id: 04f16d165f (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ - こんにちは。とても面白い作品で見入ってしまいました。半年前の作品に口を出して申し訳ないのですが、knightではなくknightsではありませんか?間違っていたら申し訳ございません。 (2020年4月19日 11時) (レス) id: e8e252d741 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - アルカリさん» いつもご愛読ありがとうございます!作者として、読者さまに面白いと言ってもらえることが一番嬉しいです!これからも、満足していただけるよう精進していきます(*´ω`*) (2019年10月7日 18時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
アルカリ - 長文失礼します。苺バニラさんの、小説は面白くていつも見ています。これからも更新頑張ってください!長文失礼しました。 (2019年10月7日 17時) (レス) id: f17e38f5ae (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 錐餌八戸さん» コメントありがとうございます!零さんとの関係は家族てきな感じにしたいなぁと思っていたので、そう言っていただけると嬉しいです〜!これからも、おじいちゃんと孫コンビで頑張ってもらいたいですねぇ(*´ω`*) (2019年9月15日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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