カタストロフィ*2 ページ14
「つまり俺は部外者じゃないから。わかったら早くゆうくんを開放してよ。困ってるのが分かんないわけぇ?チョ〜うざぁい!」
「どっちかっていうとスト──あなたの方が困らせてます!あまりしつこいと嫌われますからね」
現時点でも好かれているように見えませんけど、という台詞は飲み込んでおいた。
「しつこい?嫌われる?何言ってんのあんた」
そんな俺の言葉に、ストーカーさん(仮)は心外とばかりに肩を竦めた。
「豊かな愛情からくる一途な積極性のどこに嫌われる要素があるっていうわけ」
「そうですね。ストーカーは皆そう言うんですよ」
そして大概は自覚がない。
「ゆうくん、お兄ちゃんのところにおいで?」
遊木先輩がビクッと身体を固くした。明らかに怯えているというのに、ストーカー(確信)さんはノーダメージ。錬金術師もビックリの鋼のメンタル。
俺の背中でバイブレーションしていた遊木先輩は「……こ、こうなったら……」と呟いた。
「泉さん!」
「ん?どうしたのぉ、ゆうくん」
「あのね、聞いて欲しいんだけど………」
そこまで言うと、遊木先輩はごくりと唾を飲み込み、一瞬だけ俺の顔を見た。なぜかその瞳には罪悪感が滲んでいて……。なぜだろう。急に悪寒が。
「ゆ、遊木先、」
「僕はAくんのお兄ちゃんになったから、もう泉さんに甘えることはできない!!」
「はぁぁああ?!」
「は?」
俺の叫びと、ストーカー(確信)さんの苛立った声が共鳴した。以心伝心だね!嬉しくない!……つか、は?え?
「先輩なに言っんぐぅ?!」
「弟の前で甘えた姿見せられないでしょ? 泉さんならわかってくれるよね?」
「んぐー!んぐぐぐ!」
まったくの初耳だ。
けれど、後ろから手で口を塞がれているため反論すらできなかった。
「ゆ、ゆうくん……」
ストーカー(仮)さんの顔は俯いているせいで見えないけれど、雰囲気的に、あぁ怒ってるんだろうなぁ、って察した。
俺、八つ裂きにされるのかな。終わった……。
命の危機に思わず心の中でアーメン、と十時を切れば。ストーカー(確信)さんが細く長く息をついて、ゆっくりとその顔をあげた。
「……じゃあそいつ、今から俺の『妹』ね」
……なに血迷ってんだ??
「ゆうくんのお兄ちゃんは俺なんだから、ゆうくんの『妹』は俺の『妹』でしょ」
「んぐぐぐ!んぐ!」
どういう思考回路してんだ!!
それに、どちらかと言うと『妹』じゃなくて『弟』だから!ここ大事!
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苺バニラ(プロフ) - あんみつさん» コメントを返すのが遅れてしまい申し訳ありません、わざわざ教えてくださいりありがとうございます。確認次第すぐに直しますね。誤字のご指摘、助かりました! (2020年5月2日 16時) (レス) id: 04f16d165f (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ - こんにちは。とても面白い作品で見入ってしまいました。半年前の作品に口を出して申し訳ないのですが、knightではなくknightsではありませんか?間違っていたら申し訳ございません。 (2020年4月19日 11時) (レス) id: e8e252d741 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - アルカリさん» いつもご愛読ありがとうございます!作者として、読者さまに面白いと言ってもらえることが一番嬉しいです!これからも、満足していただけるよう精進していきます(*´ω`*) (2019年10月7日 18時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
アルカリ - 長文失礼します。苺バニラさんの、小説は面白くていつも見ています。これからも更新頑張ってください!長文失礼しました。 (2019年10月7日 17時) (レス) id: f17e38f5ae (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 錐餌八戸さん» コメントありがとうございます!零さんとの関係は家族てきな感じにしたいなぁと思っていたので、そう言っていただけると嬉しいです〜!これからも、おじいちゃんと孫コンビで頑張ってもらいたいですねぇ(*´ω`*) (2019年9月15日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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