パンが起こした少女事件簿*１ ページ37
「ん、んん……。あれ、俺、いつの間に寝て……」
次の日の朝。目が覚めると、そこはいつも通りの自分の部屋だった。
昨日、帰ってからすぐお風呂に入って、髪も乾かさずにベッドへダイブしたところまでは記憶があるんだけど、それ以降の記憶がない。多分そのまま眠っちゃったんだろう。
「っと、スマホスマホ……」
俺は充電器に繋いだままになっているスマートフォンを手に取った。
「……って、え！？」
画面に表示されている日付を見て、俺は思わず声を上げる。
『08:05』
「嘘だろ、遅刻！？」
慌てて飛び起き、顔を洗って制服に着替えた。
「母さん！なんで起こしてくれなかったんだよ！」
ボヤきながら靴を履いていると、母さんがリビングから出てきて、はい、と朝ごはんと差し出してくる。
「……あのさ、焼く時間があるなら起こしてくれない？」
渡されたのは食パン一枚。しかもご丁寧に綺麗な焼き色がついている。母さんは頬に手を添えて微笑むと、おはようのチューしてほしかったの？と宣ってきた。うん、この人全然反省してないね！
「もう！行ってきます！」
仕方ないので、俺はトーストを口にくわえたまま家を飛び出した。
「んぐんぐ……なんろか間にあいほう」
いつもは使わない路地裏を通って学院に向かう。暗くて狭い道だけど、近道をするにはここを通るしかないのだ。そしてようやく見慣れた道に出たところで、急に横から衝撃がきた。
「ふぎゃっ！？」
「おっと、すまない！」
どうやら人にぶつかったらしい。倒れそうになったが、寸でのところで腕を引っ張られて踏み止まる。反動に負けて、お相手の懐に入り込んでしまったけど。
「大丈夫か？怪我は？」
顔を上げれば、燃えるような赤い瞳が心配そうにこちらを見下ろしていた。
「えっと、はい。大丈夫です。パンは犠牲になりましたけど」
コンクリートに落下してしまった食パンちゃん。あぁ……俺の朝食が……。
「すまん。急いでいて前をよく見てなくて……」
「いえ、俺も不注意だったので。お互い様です」
突然の衝突事故で、負傷者は食パン一枚。まだ幸運だったといえよう。彼は、怪我がなくて良かったと笑う。俺はそれに微笑み返して、ハッとする。
「あの、そろそろ離してもらえますか？」
腰の辺りを掴まれていた手を見ながら言うと、彼は顔を真っ赤に染めて「すすすすまない！」と勢いよく離れた。
「いや、別にいいんですけど。それよりあなたこそ大丈──距離遠くありません？」
「そっ、そんなことない！いつも通りだ！決して細かったとか顔が近かったとかそんなこと微塵も思ってないぞ！！」
「そんなこと誰も言ってないですよ……」
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！そう言って頂けると、嬉しい限りです！更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります！ (2019年8月20日 14時) (
レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください！応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω｀*)とっても嬉しいですし、励みになりました！りさこさんは優しい方ですね！今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です！とにかく最高でした！！これからも応援してます！！ (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます！時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね！ (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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