Lilアソート(バレンタイン短編) (ページ17)

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『こた、バレンタインもうすぐやね』

「ん、そやな」

私から話題を振るのが珍しいのか
お、とこっちをみて優しく返事をくれる。

『こたは、何欲しい？』

「え。なんでもいいで」

ほら、いつもそう。
なんでもいいとか
そう言うセリフで彼は片付ける。

私からの好き、も

「ありがとう」

で済ませるし

それが私を不安にさせるんやって
言ってしまえば楽なんやけどなあ。

『じゃあ作らんとくわ』

「え？そっかーわかった」

ええよ、と優しく笑うから

もう、こたに何言っても無駄なんかな

って、お子ちゃまな私は
イライラしてきてしまって

ほんまに、作らへんことにした。

「いいん？付き合って初バレンタインやろ？」

と友達に言われたけど
頑固な私は頑なに誘いを断り、

当日を迎えた。

当たり前のように中等部に迎えに来る彼は

手に紙袋を持っていて

今日というこの日だ。

誰かからもらった物なのだろうと察する。

なんなん、他の人からの普通に受け取るんや。

余計にムッとした私は

『今日は一緒に帰らへんっ』

こたの横をすり抜けて
彼の呼び止める声も無視してダッシュで家に帰った。