くらい、食らい、Cry【谷山紀章】 (ページ22)

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▽*Yuka Side ページ22

ただでさえ、寂しかった
いつも隣に居たのに、
遠くなった距離がとてももどかしかった

「え、やだ
だって、今日さ
帰っちゃうでしょ？」

そう言えば、目を開くA
…そりゃそうだよね
憧れが彼氏になって、
折角、和解して戻れるのに………
戻ってほしいと願ったのは私もなんだけど
矛盾、してるよね
でも、私だって独りは嫌だ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

迷惑なことを言ったと自覚をして、
後悔が心に積み重なる

けど、すぐにそれは消えた

Aは黙って私の頭を優しく撫でてくれた

私がAを解放すれば、
Aは"ご飯作りますね"と言ってキッチンと向かい合った

そんな背中が、とても頼りになる
十分すぎるのだ、Aが頭を撫でるだけでも
それだけで、安心する
他の人に気軽に撫でる人じゃないから
…他の人に気軽に抱き着くことはあっても、
撫でることはない

だから、信用できる

私が思いを言葉にしても、
Aは言葉にするのが苦手らしい
そんな私たちの相違点
言葉にできない分の精一杯の行動だ
だから、それで十分すぎる

「ねぇ、物凄くハンバーグ食べたい」

A「あのさぁ、それは買い物行く前に言う事でしょ？」

「だって、食べたいものは食べたいもん」

緩んだ顔、先輩を前にしてもできるってことは、
もう安心だね
吹っ切れたのかな

「ね、A」

A「ん～？
知ってるよ」

下野「まだ、何も言ってなくない！？」

「あー、本当海外行こうか
結婚式挙げよう」

紀章「それは、俺が許さねぇぞ」

「きゃー、先輩こわーい」

A「由佳～
悪いけどさ、」

「おけおけ、何すればいい？」

Aから指示をもらいつつ、
手伝っていると男性陣は既に話し込んでいて…

「亭主関白」

A「いや、紀章さん
割と手伝ってくれるよ？
大変だろうからって」

「あのさ、まだAは大人の階段上ってないよね？」

A「上ってねぇよ」

マジでツッコミを受けたので、まだ手を出していないのだろう…

「…あー、男に生まれたかった」

A「何で、って聞いてもいつものことか」

「そうすれば、Aをさ」

A「きっと、お前に惚れてるよ
頼れる天然っ子だから
でも、僕は今のお前の方が良い」

…お前、十分男前よ
でも、このままでいいかな

「ありがと」

A「一々、口に出すなよ
…恥ずかしいだろ」