I、愛、哀【谷山紀章】

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「赤羽さん、伊月さん入りまーす！！！」


持参したエプロンを片手に、
台所のあるスタジオに入ると既に甘い匂いが漂っていた


「時既に死にそう？」


A「物凄く」


「まぁ、しょうがないよね」


「準備でき次第、作り始めてください」


そう言ったのは、
相方である由佳の知り合いのカメラマン


「そうだ、自己紹介した方が良いかな
紫崎怜音
よろしくね」


"紫崎怜音"と名乗ったカメラマンは
スラッとしている細身で身長も僕並み
黒髪でモデル並みのスタイルだ
…何で、カメラマンをやっているのかが不思議なくらい


A「赤羽Aです
今回は、ありがとうございます」


「感謝するのはこっちの方だよ
ありがとう、良いのが出版できそうだ」


「まぁ、私たちが組めば最強だから！？」


A「"僕たち揃えば最強伝説"か…
懐かしいね」


カラオケで、デュエットをして高得点を出すことができたことから
"2人揃えば最強伝説"が生まれた


「その話は、後々インタビューさせてもらうよ
………じゃ、お願いします」


A「何作る？」


「材料は結構あるよね」


A「…知ってた？
ヴァレンタインって、チョコを渡しても何も意味がないの」


「え、マジで！？」


A「意味がないのは、チョコとケーキ
本命と伝えるためのものは、マカロン、飴、キャラメル

マカロンは、貴方は特別な人

飴は、貴方が好き

キャラメルは、一緒にいると安心する

と言う意味


クッキーは友達っていう意味


マシュマロはすぐに溶けることから嫌いと言う意味を表すけど、
もし、チョコが中に入っていた場合は

純白の愛で包み込む

という意味になる」


「…本当、博識だよね」


"じゃあ、紀章さんに本命を伝える3つの中から1つプレゼントしたら？"
と耳打ちしてくる
思わず、熱が顔に集まり恥ずかしくなってくる

由佳は付き合っていることを知らない
…絶対、揶揄われるのが目に見えてる
まあ、言ったら言ったで祝ってくれるけど


A「何がいい？」


「マカロンとクッキーと生チョコ！！！」


A「マカロンは初めてだけど…
クッキーと生チョコはあの時以来か」


「だって、美味しかったし…
また、なんちゃらボックス作りたい！」


A「アイスボックスね
おけおけ
生チョコのレシピは覚えてるし、
クッキー粉があるから楽だし………


さて、やりますか」


エプロンに腕を通し、
材料に手を伸ばした

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