I、愛、哀【谷山紀章】

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「お待たせいたしました」

そう言って、にこやかに店員が注文した品物を持って来てくれた

癖で
"ありがとうございます"
と言うと店員がこっそりと声をかけてきた


「あのｯ、下野紘さんと赤羽Aさんですよね…！」


下野「あ、はい」


「2人が出演されているアニメ、2期始まりますよね
楽しみにしてます、頑張ってください」


A「あ、ありがとうございます」


下野「ここの店って、写真撮っても大丈夫ですか？」


「あ、はい！
ごゆっくりしてください」

まさかの視聴者さん…
しかも、まだ数年しか経っていない僕をも知っているなんて

下野「写真撮ろ、Aちゃん」


A「あ、後で僕の端末の方でも撮りましょう！」


下野「ほら、こっち
…はい、ちーず」


シャッター音が軽快に鳴った


A「しもんぬ先輩、こっちもお願いします」


しもんぬ先輩は真正面から撮ったけど、
僕は斜めから撮った


写真を撮り終え、
"いただきます"
と言ってパンケーキに手を付けた


A「SNSにあげてもいいですか？」


下野「いいよ、いいよ」


写真を添付して、
コメントをつけて投稿する



[しもんぬ先輩と遅めの昼ご飯…]
[と、言うよりおやつターイム]

とシンプルにコメントをつけて投稿すれば、
すぐに"いいね"と"リツイート"がされた
それどころか、ファンと思わしき子たちがコメントをくれた

他にも、楽しかった出来事として別のアプリに投稿すると
それにも反応が凄かった


A「しもんぬ先輩効果、絶大ですね」


下野「何言ってんの
Aちゃんの魅力だって」


A「有り得ませんよー」


他愛もない会話をしていると
しもんぬ先輩の電話が鳴った


それを直ぐに受け、耳元に持っていって一言も声を発さない先輩に
疑問符が浮かぶ


下野「違いますよｯ！」

焦り始めるしもんぬ先輩に心配が募る
首を傾げると、しもんぬ先輩は口パクで言った

"き"


"しょ"


"う"


"さ"


"ん"


…見るの早すぎだよ、彼氏様


しもんぬ先輩が僕の目の前で手をヒラヒラさせて、
携帯電話を目の前に出していた


下野「紀章さんが"代わって"だって」


少し、緊張しながら耳元に持っていき
"もしもし"と言うと紀章さんの第一声は"浮気"という二文字



A「現場が一緒で、"お昼食べよう"って話になっただけですから
安心してください」


≪それの何処がお昼だ≫


……うん、だって3時だもん
おやつだよ、3時は
皆さん、おやつは3時の他に10時も含まれるからね((

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