I、愛、哀【谷山紀章】

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「次も、あの子いたよね」


その一言で、やる気がまったくと言っていいほど霧のように消えていった
げんなりしていると、
"余計なことを思い出させた"
と言われた


…本当、余計だよ


コンビニに入っていくと、
僕が担当したOPが店内で流れていてびっくりして何もない場所でこけた
それを見たらしく、由佳に笑われた

ビックリしたんだよ、こんなこと初めてだし…
流してくれるなんて、このコンビニ気前良すぎでしょ


そう思いつつ、ガムとグミを手に取り会計を済ませて由佳を待つと
僕のもらった袋より2倍の大きさの袋を手に提げていた
…お主、結構食べるね



駄弁りながら、
現場に向かいその近くのベンチで
一旦休憩という名のご飯タイム(相方のみ)
僕は、ガムを噛んでいると
"それ、余計にお腹空かない？"と言われた
…まったく空きません
相方の胃袋の大きさに脱帽をしていると、
一つ食べ終わったところで手を合わせて
"ご馳走様でした"と呟いた

A「もう、食べないの？」


「あとは、後ででいいかなぁ…って」


A「じゃあ、第一声"お腹空いた"止めてよね」


「んー、善処する」


善処をするんじゃなくて、
止めてくれ


多分、この願いは届かないことだろう…


現場に足を踏み入れると、
珍しくあの彼女が早めに来ていた


「うっわ、めっずらし」


呟く由佳に僕は"そうだな"と思いつつ、
口には出さなかった


台本をバッグから取り出そうと探っていると、
後ろの方から"ねぇ"と声をかけてきた


「ちょっといい？」


一方的に告げられ、
出て行った花崎さん


「大丈夫、Aちゃん…！」


本性を知っている女性陣に色々と心配の声をかけられるものの、
何かされると決まった訳じゃない
だから、僕は"大丈夫ですよ"と言って、彼女の後を追った

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