I、愛、哀【谷山紀章】

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「…最近、お前ノリ悪いよな」


手を放してくれたと思いきや、
変なことを言い始める


「"曲がない"って言うの？
ちょっと前までは、普通にいいよーって言ってくれてたじゃん」


A「それは…＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」


口が裂けても言えない
"彼氏ができた"なんて…
言えば、こんなことを言われずに済んだんだろうけど
しょうがない……
自分が"言わないでほしい"と、
紀章さんに頼んだんだ

後悔先に立たず


思わず、頭を抱える
自分の選択に何度、後悔すればいいのやら…


宮野「二人とも、険悪なムードを作っちゃって…
どうしたの？」


「あー、何でもないですよ」


いつもの笑顔に違和感を感じる
…あ、作り笑いなんだ
基本的に、作り笑いなんだ
この人は


宮野「何でもなくないでしょ？
何、次の読み合わせで心配なところとかあるの？」


「…そういう訳ではなくてｯ！」



宮野「じゃあ、喧嘩？」


「そんな、しませんよ！
女性と喧嘩するとか、何も利益がないじゃないですか
弱いし」



…全世界の女性を敵にまわしたぞ、こいつ


下野「何も知らないって怖いよ、佐藤くん」


宮野「うん、怖いよ」


何処か遠くを見つめるマモ先輩と、
僕を見つめるしもんぬ先輩


…え、何で見つめられてんの？
てか、いつの間に………



紀章「何の話してんの？」


荷物を持って、こっちにきた紀章さん
話の流れを簡潔にマモ先輩が話すと、
"俺にはわからない"と言った



紀章「彼女がいたときもあったけど、
口論になったことなんてなかったし…
それに、喧嘩なんて全然してないね
思い返せば」


付き合って約一カ月で喧嘩していたら、
破局するでしょ…
確かに、付き合っていれば
何かしら不平不満はお互いにあるんだろうけど
(僕はない)


宮野「で、何の話してたの？」


「先輩方には、疎遠なことですよ」

"特に、宮野先輩は"
と付け足す

考えたマモ先輩は、
言った
宮野「…合コン、とか？」


勘が鋭い…


紀章「確かに、疎遠だね」


下野「…うん」


宮野「でも、今日さ
他の現場での打ち上げで飲み会あるってこの前話してなかったっけ？」


A「………え？」


「打ち上げ入っているなら、そう言えよな〜
…てか、忘れちゃダメだろ」


そう言ったと思いきや、
"また、今度な"とか言い始めて現場から消えていった

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