I、愛、哀【谷山紀章】

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「持ち帰っていいとか、
レオ、気前良すぎ！
てかさ、良いの？
こんなに私貰っちゃって」


A「僕、そんなに甘いの食べなくなったし…
寧ろ、美味しく食べるお前が食べな」


そう言うと、
"だって、美味しいじゃん？"
とか言い始めた


「良かったの？
紀章さんに＿＿＿＿＿＿＿＿＿」


A「そんなこと言ったら、お前だってしょー＿＿＿＿＿＿＿＿」


「いや、美味しくないって言われたらそれはそれでショックだから
大丈夫、渡せない」


A「…僕も、それと一緒」


「いやぁ、無理だよ
そんな勇者みたいなことしないし、できない
Aのチョコは美味しいけど」


A「ほら、俺たち最強伝説」



「それとこれとは別じゃん！？」



A「…そうなのかなぁ」



足を止めた由佳に
僕も反射的に足を止める


「んじゃ、ここで」


A「んだね
気をつけて」


手を振って別れる

仕事が無事に終わった
立ち止まって、一息つく


洋服には、未だに甘い香りが残っていた
…着替え持ってくればよかった


現在、0時過ぎ


予想より早めに終わった仕事
由佳の包丁捌きは、ほんの少しだけ変化が見られた
楽しい仕事でよかったとは思う
失敗もしなかったし、良かった


"きゃっきゃ"と歩くカレカノカップルや
泥酔しているであろうサラリーマン、
未だ飲み足りないか、街奥へと足を進めている人たちとは別に
僕はただただ自宅へと戻ろうと流れに逆らう


吐いた息がさっきよりも白い
流石に、まだ寒いな…

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