総統室のパティシエ【2】

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聞きたかった声で、いつか聞いた言葉で

低く、森の空気を震わせるその声の主は、私が先ほど見ていた方向の木陰から姿を現した


『グルッペン、様』
｢なっ！何故だ！なぜお前がここにいる！！｣

彼に銃を向けた人物は、瞬時に背後から取り押さえられた

｢はい確保ー。お疲れさん、俺らもおんで｣

ゾムさんは首元にナイフを突きつけながら組み伏せた相手の背に乗っている
そしてグルッペン様の後ろから続々と、幹部の皆さんが姿を現した

｢周りに隠れてた奴も片付けといたで｣
｢増援はないっちゅうこっちゃ。残念やったなぁ｣
｢あの程度の兵力でうちの軍破れると思ったの？舐めすぎでしょ｣
｢さすが脳みそクズっすね｣
｢やっぱ確定じゃなくても怪しいうちに潰しとけばよかったわ｣
｢目星はついててんけどな…ごめんなAちゃん｣
｢まあ君の母国にはちゃんと伝えとくから｣
｢なんならあなたの爪も一緒に送りましょうか？｣
｢いくら女でもここまでされたら容赦できひんで？……元メイドさん｣









幹部43日目

最近お城の色んな人と話すようになって楽しい。皆さん幹部として扱ってくれるけど、そういうのに全然慣れないのは困ってるところ。

夕飯前も少し前に入った新しいメイドさんとお話した。歳も近くて、身近な友達が出来た気分。

夕飯の後、部屋に戻ると手紙が置いてあった
見たくなかったのに、その封筒は見覚えのあるもので。


＿＿久しぶり、元気？
お城の皆さんと仲良くできてるといいけど、Aは友達作るのとか慣れてないからちょっと心配してます。＿＿



『お姉、ちゃん』



＿＿「明日はお前の姉と隣の牢にしてやろうか？なぁ…A。」＿＿


『嘘じゃ、なかったんだ』





目を背け続けた現実がとうとう、牙を剥いた

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