2話 ページ6
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見慣れた国道を、マイキー達を乗せた車は走る。後部座席に乗り込んだマイキーに体を寄せてまとわりつく女を、三途が今にも殺しそうな目で、フロントガラス越しに睨み付けている。
しかしそれに気付いていないのか、気にしていないのか、女は親しげにマイキーの肩に頭をよせ、とろりと微睡んでいる。先程までの喧しさが幻想だったように静かだ。
女の大きな黒目が瞼の裏に隠れたのを見て、マイキーは運転席の三途に車内に流れる陽気な音楽を止めるように命じた。三途は心底不服そうな顔をしたが、マイキーに逆らう訳にも行かず。渋々と言った様子で音量のツマミをゼロに合わせた。
「ソレ、どうするおつもりですか」
「……さぁナ」
不愉快を隠さない声色で三途が言うが、マイキーは曇りガラスの外側を流れる眩い風景をぼんやりとみながら明言を避けた。というのも、別にどうしようとも思っていなかったからだ。
何となく気に入って興味を持った。そんな女が帰る手段がないと言うから、なんとなく、家に連れ帰る。それだけ。
例えば連れ帰った先で女と交わるならば、それはまぁそれでいいかと思った。女がこのまま寝続けて朝まで目覚めなくても、それならそれでもいいと思う。
つまり、どうでもいい……と言うより、何でもいい。マイキーは数年ぶりに蘇った興味関心という感情を手放したくなかっただけであって、それが必ずしもこの女で無ければならない理由は無い。けれどこの女以外に関心を持てるかと聞かれれば、近くにいる三途にさえ何も感じないのだから無理だとも思う。
だから、何でもいい。とても曖昧で不思議な感情。それでもマイキーはいつもより少し、心臓が高鳴っているのを感じていた。
マイキーはちらりと視線を落として、女を見た。すうすうと穏やかな寝息を立てて眠り転けている。明らかにまともな人間ではない男の肩で。明らかに堅気では無い男が運転する車に乗せられて。
酒が入っているからなのか、それとも元々の神経の話か、どちらにせよ図太い女だ。マイキーは女の頭に自身の頭を預けて、通り過ぎてゆくネオンの光も、物言いたげな三途の視線も、瞼を閉じて遮断した。
女の様子につられたのか、少し眠たい。マイキーはゆっくりと意識を手放す。
願わくばこの眠りの先に見る夢が女のものになればいいと、そう心の中で考えながら。
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ヒズミちゃん(プロフ) - 文章が丁寧で読んでてすごくしっとりした気持ちになります(><)更新楽しみにしてます！ (2021年9月2日 12時) (
レス) id: ab073e124e (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - 好きです！！更新楽しみに待っています頑張ってください！！応援してます！！ (2021年9月2日 2時) (レス) id: 88c711d3e6 (このIDを非表示/違反報告)
ブルベリアイアイス - 書き方好きぃ… (2021年8月28日 23時) (レス) id: 7d4ae8c2ba (このIDを非表示/違反報告)
花璋(プロフ) - 書き方上手すぎませんか･･･！？夢主ちゃんの大胆さも、それに惹かれつつあるマイキーの心情も、無理矢理感なくてすんなり納得共感しながら読めるので既に続きが気になって仕方ありません！！如何に冒頭に繋がるのか楽しみです！更新待ってます！！ (2021年8月24日 16時) (レス) id: 7ebade7fdf (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - 好きすぎます… (2021年8月20日 5時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：金蔓ゆるり | 作成日時：2021年8月19日 20時
