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「こんな事カッコ悪いから言うつもり無かったけど、俺、一年の時からAに惚れてるんだよね」
「……え？」
ポツリと、三ツ谷の口から想いが零れた。数十年後の同窓会で酒のつまみに話そうと考えていたが、結ばれた今、墓まで持っていこうと思っていた、恋をした瞬間のエピソードだ。
羽鳥は三ツ谷の突然の吐露に驚きながらも、真剣に聞き入っている。
「一年の頃、俺、浮いてただろ。ビビられてたし。Aは覚えてないかもだけどさ、そんな時、俺が廊下にばらまいちゃったノートを、一緒に拾ってくれたんだよ」
今でも鮮明に思い出す、あの瞬間。
あの時羽鳥が伸ばした手に、三ツ谷がどれほど救われたか。弱っていたところを暖かく包んでくれた羽鳥の優しい笑みを、三ツ谷がどれほど支えにしたか。
結局二年に上がってからは三ツ谷の人柄もあってか誰も東卍であることを気にしなくなったが、それでも羽鳥の事だけは忘れられなかった。
「Aにとっては何も珍しい事じゃないのかもしれないけど、俺はそれでも、すげぇ嬉しくて。あん時に、Aの事、好きになったんだ」
廊下ですれ違う度に目で追って、学年集会等では意味もなく姿を探して、窓の外、体育をする羽鳥を眺めていたりもした。
仲間に話せば笑われそうな程盲目的に、羽鳥の事だけが頭を締めていた。パッと世界が色付いたような、そんな感覚だった。
「だからAと付き合えてから、俺ずっと浮かれてた。……そのせいで、Aが嫌な思いしてることにも気づけなくて、ごめんな」
そう言って、頭を下げる。自分が情けなくて仕方ない。好きな女を自分自身で苦しめていたなんて、笑い話にもならない。
三ツ谷は羽鳥の言葉があるまで、ずっと、静かに頭を下げ続けた。コチ、コチと壁掛け時計の短針が回る音だけが部屋に響く。
羽鳥は黙り込んでいた。返す言葉を探しているのか、それとも……三ツ谷に愛想を尽かしてしまったんだろうか。最悪の結末をも受け入れる覚悟をしながら、三ツ谷は拳を握りしめる。
「……それだけ？」
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綾鷹(プロフ) - どハマり中の作品！更新頑張ってください！！応援してます！！！ (2021年8月17日 12時) (
レス) id: 1e5c1477e1 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - 初コメ失礼致します。すごく素敵な作品に出会えて大感激です…！三ツ谷のかっこよさと可愛さが全面に押し出されててめっちゃ好きです、、、これからも更新応援してます！ (2021年8月17日 8時) (レス) id: bb984743a2 (このIDを非表示/違反報告)
まつあい(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…泣 (2021年8月17日 5時) (レス) id: 616babd1d8 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - この作品に会えた事を感謝します… (2021年8月17日 4時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの？私バカなの？((((喧しいわ (2021年8月17日 1時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：金蔓ゆるり | 作成日時：2021年8月16日 5時
